稲田防衛大臣は9月国会までに南スーダン訪問を

2016年08月20日 10:53

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一方、9月国会では北朝鮮政策と同等か、それ以上に議論になるのが、南スーダンでの自衛隊によるPKO活動継続の是非と継続なら「駆けつけ警護」「宿営地警備」など新任務付与の要否に対する見通しだろう

 北朝鮮、中国、ロシア、南スーダン。稲田朋美防衛大臣が常に緊張感を持って目配りしなければならない国が4か国ある。

 19日夕、米陸軍の制服組トップ・ミリー陸軍参謀総長と会談の際、稲田防衛大臣は北朝鮮の弾道ミサイル問題で日米韓連携強化の重要性とともに、米国が韓国で進めている米国最新鋭地上配備型遊撃システム・THAAD(高高度防衛ミサイル)システムについて、日本においても配備の方向で検討を進めることを共有したと思われる。

 一方、9月国会では北朝鮮政策と同等か、それ以上に議論になるのが、南スーダンでの自衛隊によるPKO活動継続の是非と継続なら「駆けつけ警護」「宿営地警備」など新任務付与の要否に対する見通しだろう。

 国連安保理は4000人の「地域防護部隊」を追加派遣する決議案を12日採択した。決議案採択報道によると「地域防護部隊は国連の文民保護施設や支援関係者、市民保護のほか、空港などの重要施設の警備にあたる」としている。

 決議は『国連施設や市民への攻撃を準備していることが分かれば、南スーダン政府を含めた、いかなる相手であれ、より積極的な武力行使に踏み切る権限を認めた』。

 この決議は米国が提案し、日本を含む11カ国が賛成。中国・ロシア・エジプト・ベネズエラは棄権した。問題は「国連施設や市民への攻撃を準備していることがわかれば」先制攻撃を認める内容になっていることだ。市民への攻撃を準備しているとミスなく常に判断できるのだろうか。

 南スーダンでのPKO活動が日本共産党、社民党など、さきの安保法制に強く反対し、懸念している「自衛隊員による殺し、殺される」初のケースになる可能性も否定できなくなるのが現実だ。

 稲田防衛大臣は海賊対処活動にあたっている自衛隊員を激励するため、15日にジブチを訪ねた際、記者団の問いに、南スーダンについては「PKO5原則を満たしていると思う」と答えている。しかし、大臣に集まる情報による判断だけではなく、是非、南スーダンを見られたうえで、国会答弁されることをお願いしたい。

 「派遣されている要員からの報告、大使館、国連からの情報等を総合的に勘案すると」と前置きされ、それを根拠にのみ答弁するほど「説得力のない答弁」はない。現場をみることが基本だ。

 自民党の佐藤正久元防衛大臣政務官のブログをよく拝見させて頂くが、賛成できる部分、賛成できない部分を含め、国連PKOゴラン高原派遣輸送隊初代隊長やイラク先遣隊長として現場を踏んで来られたところに、専門家としての識見や視点、切り込みがあり、経験則による重みを感じる。

 部下や関係者からの2次情報のみでなく、自身の目と耳で現場の1次情報を加えた、正確な答弁を期待したい。そのために、9月国会までに、南スーダンを訪問してほしい。(編集担当:森高龍二)