8月12日から14日までの3日間、日本最大級のアニメや漫画などの同人誌即売会「コミックマーケット 90」が東京ビッグサイト(東京国際展示場)で開催された。コミックマーケット準備会によれば、総来場者数は約53万人。入場者数では 2015年夏の「コミックマーケット88」(約55万人)に及ばなかったものの、最終日には炎天下のなか約21万人が来場、単日の入場者数としては過去最高タイを記録するなど、盛況のうちに閉幕した。
一般社団法人日本動画協会「アニメ産業レポート 2015」によれば、2014年に放映されたアニメ作品は過去最大となる322本(新作232本)。2006年を境にアニメ放映本数やアニメソフトの売り上げが急減した「アニメバブルの崩壊」以降低迷が続いた国内アニメ産業だが、2015年に公開した劇場版アニメ「ガールズ&パンツァー」が累計動員数120万人、累計興行収入20億円を突破する大ヒットとなるなど、「アニメ」が再び注目を集めつつある。
帝国データバンクでは、企業概要データベース「COSMOS2」(約146万社収録)や信用調査報告書ファイル「CCR」(170万社収録)などをもとに、アニメ制作を主業とする企業 153社を抽出、集計・分析を行った。
アニメ制作企業 153社を本社所在地別に見ると、「東京都」が144社(構成比94.1%)と、9割以上を占める結果となった。東京都の内訳を見ると、144社のうち113社を「東京23区」が占め、そのうち「杉並区」(36社)、「練馬区」(26社)の2区で半数以上を占めている。また、23区外では「武蔵野市」(9社)、「西東京市」(8社)などが多く、総じて東京23区西部から都下方面にかけて位置する企業が多い。これは、東映アニメーション(旧:東映動画、中野区)やトムス・エンタテインメント(旧:東京ムービー新社、中野区)などのアニメ草創期を築いた企業が集中していることに加え、複数企業で工程を分担して製作することが多いアニメ業界においては、近接性がビジネス面で有利に働くといった理由があるとしている。
一方、ピーエーワークス(富山県)や京都アニメーション(京都府)など、地方に本拠地を構えながらも全国的に知名度を誇るアニメを制作している企業も見られた。アニメのデジタル化やネットワーク化による地域間のボーダーレスが進み、「東京一極集中」の必要性が薄れつつあるほか、スタジオの密集する東京から遠方に設置することで、制作環境向上やアニメーター・イラストレーターなどスタッフの流出を抑える狙いもあると見られるとしている。
創業年別に見ると、最も多かったのは「2000年代」(58社、構成比37.9%)で、「2010年代」(23社、同15.0%)と合わせると、2000年以降に創業した企業が52.9%を占める結果となった。
代表者年代別(判明した138社を対象)に見ると、最も多かったのは「50代」(49社、構成比35.5%)で、「40代」(44社、同31.9%)、「60代」(19社、同13.8%)と続いた。また、代表者の平均年齢は51.2歳。幅広い年代の代表者がアニメ制作に携わっている。 一方、「30代以下」は17社(同12.3%)。こうした経営者の中には、フリーランスのアニメ制作従事者が独立して設立したケースのほか、社内におけるアニメの 1 部門が独立したケースもあるとしている。(編集担当:慶尾六郎)