矢野経済研究所は、国内のキャラクタービジネスの調査を実施した。調査期間は2016年4月~6月、調査対象はキャラクターを用いてビジネス展開を行っている企業等(メーカー、卸などいわゆるライセンサー、ライセンシー、及び小売・流通業等)。調査方法は同社専門研究員による直接面談や電話等によるヒアリング、アンケート、官公庁及び業界団体等の各種統計データによる文献調査を併用した。
2015年度のキャラクタービジネス(商品化権、版権)の市場規模は前年度比 100.6%の2 兆4,282 億円であった。前年度(2014 年度)の大ヒットキャラクター出現による反動減により苦戦を強いられたものの、定番キャラクターへの回帰や、様々なメディアを利用し、キャラクターの発信力を高めて目新しさを訴求し維持するといったメディアミックス戦略の強化によるキャラクターの長寿命化によって底堅く推移したとしている。
キャラクタービジネス市場は商品化権と版権で構成され、2015年度の商品化権市場は前年度比99.6%の1兆2,282億円、版権市場は前年度比101.7%の1 兆2,000億円で、商品化権市場は微減、版権市場は拡大基調となった。
商品化権市場は、48.4%と大きなシェアを占める玩具が苦戦したことで、全体ではマイナスとなったが、大人向けに商品の強化を進めている衣料品や服飾雑貨の分野ではプラス成長となった。アニメなどの登場人物をファッションモデルに見立てたオリジナル商品の開発や実店舗に並ぶ商品でのコーディネイトの考案、また作中に実店舗の衣料品などを登場させるなどの取り組みが奏功した。
版権市場は、近年の広告宣伝費の増加を追い風に、定番キャラクターを顧客層別に新たな見せ方で訴求するなどのリブランディング(ブランドの再構築)を強化したり、セールスプロモーションにおけるキャラクターの積極活用を推進したことなどからプラス成長となった。
2016年度は、熱心なファンの支持を得てヒットしているアニメ作品が様々な分野へ広がりがみられることや、定番キャラクターの新しいプロモーション活用が活発化していることなどから堅調に推移していくものとみられ、キャラクタービジネス市場規模は前年度比100.7%で2兆4,456億円、うち商品化権市場は同100.2%の1兆2,306 億円、版権市場は同101.3%の1兆2,150億円と両市場ともに拡大基調を予測している。(編集担当:慶尾六郎)