矢野経済研究所では、国内教育産業市場の調査を実施した。調査期間は2016 年7月~9月、調査対象は学習塾、予備校、資格専門学校、語学スクール、カルチャーセンター、料理教室、幼児教室、体操教室、研修サービス事業者、e ラーニング事業者、通信教育事業者、学習ゲームソフト会社、知育玩具メーカー、業界団体、管轄省庁等。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・FAX・e-mail によるヒアリング、ならびに各種文献調査を併用した。
それによると、2015年度の教育産業全体市場規模(主要12分野計)は、前年度比0.9%減の2兆5,006億円であった。主要12分野のうち、市場規模が前年度より拡大した分野は、「学習塾・予備校市場」「資格検定試験市場」「英会話・語学学校市場」「幼児英才教育市場」「企業向け研修サービス市場」の5分野であり、それ以外では1分野が横ばい、残りの6分野が市場縮小となった。市場縮小の分野では、大手教育事業者の大幅な会員数の減少によって、特に「幼児向け通信教育市場」「学生向け通信教育市場」が大きく縮小しているという。
また、2015年度の学習塾・予備校市場規模は前年度比2.0%増の9,570億円であった。当該市場は少子化の進行によって市場縮小が懸念されているものの、前年度に続きプラス成長で推移した。市場拡大の要因は、映像授業を組み合わせた学習サービスが堅調な集客を継続させていること、小学校低学年層の生徒開拓が活発化していること、授業料の値上げを実施する事業者が散見されていること、通信教育講座退会者の受け皿としての需要が発生していることなどが挙げられるとしている。
2016年度もこうした傾向が継続するものとみられ、映像授業を組み合わせた学習サービスが引き続き堅調な集客で推移していることや、大手教育事業者を中心に顧客囲い込みの施策強化が活発化していることなどから堅調推移を予測している。
2015年度の英会話・語学学校市場規模は前年度比1.0%増の3,100億円であった。そのうち、成人向け外国語教室市場は、ビジネスニーズを目的とする入会者の増加を背景に堅調に推移した。
一方、幼児・子供向け外国語教室は、小学校における英語活動の必修化と早期英語教育需要の高まりを受けて着実に市場拡大を継続させている。2016年度もこうした傾向に大きな変化はなく、成人向け外国語教室市場は堅調推移、幼児・子供向け外国語教室市場は、早期英語教育需要のさらなる高まりが予想されることから、英会話・語学学校市場は、拡大基調を予測する。
2015年度の企業向け研修サービス市場は、前年度比2.3%増の4,970億円であった。企業における人材採用意欲が前年度より総じて高まるとともに、社員への教育意欲も高まりを見せたことで、様々なタイプの研修事業者が提供する新人研修の需要が高まりを見せた。また、定額制や低価格な企業向け研修サービスの普及が一段と進んだ。
2016年度は、引き続き新人研修が牽引するとともに、中堅・中小企業の研修サービス利用の拡大、ストレスチェック制度関連の研修サービス等の寄与により、市場拡大を継続するものと予測している。(編集担当:慶尾六郎)