注目されるハイレゾ市場とその進化を支える日本の技術

2016年10月15日 20:55

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ジーエフケー マーケティングサービスジャパンが2015年に発表した調査報告によると、2015年上半期におけるハイレゾオーディオ機器の販売金額は前年同期の1.4倍。前々年同期比では3.8倍を記録している

 近年、音楽をこよなく愛する人々の中で、音楽用CD(CD-DA)を凌ぐ音質の音楽データ「ハイレゾリューション音源」への欲求が高まっている。ジーエフケー マーケティングサービスジャパンが2015年に発表した調査報告によると、2015年上半期におけるハイレゾオーディオ機器の販売金額は前年同期の1.4倍。前々年同期比では3.8倍を記録している。

 デジタル音源の品質は、1秒間にアナログ信号をデジタル信号に変換する回数を表した「サンプリング周波数」と、その変換の際に行う音の強弱を段階的に表現した数値「量子化ビット数」によって構成されている。サンプリング周波数の数値は、大きくなるにつれ、よりきめ細かく、より大量の変換を行なっているということを表している。例えば192kHzのハイレゾ音源の場合、サンプリング周波数44.1kHzのCDの音源と比較して、約4倍以上のきめ細かさを持っているといえるのだ。また、CDは量子化ビットが16ビットなので、2の16乗=65536階調の音の強弱に変換できるが、24ビットのブルーレイは2の24乗=16780000階調の変換まで可能なので、CDの約256倍の音強弱に変換することができるということになる。

 もちろん、音源自体がどれだけハイクオリティになっても、それを再生するオーディオやアンプが対応できていなければ、その魅力を存分に堪能することは難しくなってしまう。

 中国・広州の携帯音楽プレーヤーブランドFiiO(フィーオ)や、韓国のIRIVER(アイリバー)社が展開するハイレゾプレーヤーブランドAstell&Kern、アメリカで64年の歴史を持つスピーカーメーカーAcoustic Research(アコースティックリサーチ)など、世界各国のメーカーがしのぎを削る中、ソニーやオンキョー、パイオニアなどの日本の音楽プレイヤーメーカーも大健闘している。とくにウォークマンで培った技術とノウハウを活かして、DAPと呼ばれる携帯小型オーディオプレイヤーの分野ではソニーの「WALKMAN」がその代表格となっている。小型、軽量、大容量に加え、microSDカードスロットやカラー液晶も搭載し、広範囲な再生フォーマットに対応しているほか、ハイレゾ音源に最適化した、同社独自開発のフルデジタルアンプ「S-Master HX」や、圧縮音源をハイレゾ相当の音質に持ち上げる「DSEEHX」を搭載したモデルなど、性能とコストパフォーマンスの高さで評価が高い。

 また、プレイヤーメーカーだけでなく、ともいえ、オーディオプレイヤーの音量や音質の調整を行うサウンド・プロセッサの性能でも、日本企業の製品は高い評価を受けている。例えば、ロームのサウンド・プロセッサ「BD34704KS2 / BD34705KS2」は、直近5年の累計出荷実績がなんと1億2000万個以上と高い評価を受けている。さらに同社では2016年10月に新シリーズとして、ハイレゾ対応ハイエンドAVアンプに最適な、新音質設計技術を導入したサウンド・プロセッサ「BD34704KS2 / BD34705KS2」を開発した。

 同製品は、従来品でも高い評価を受けている低歪率と低雑音など特長を継承しつつ、狙い通りの音質を実現するために、ICの音質に影響するノウハウを28個の独自パラメータとして集約し、その設計技術を確立することで、奥行きのある「空間表現」の大幅な向上に成功。より臨場感あふれる音質を実現し、限りなくノイズが少ない音質を表現できるという。

 音楽ファンならずとも、より高音質で臨場感に溢れる音楽を手軽に楽しみたいもの。今後もハイレゾ市場を席捲する日本メーカーの活躍に注目していきたい。(編集担当:藤原伊織)