三菱電機は、膨大なデータからの学習を通して認識・分析・推論を行うアルゴリズムを自動設計する「ディープラーニングの自動設計アルゴリズム」を開発した。同技術の活用により専門知識を持つデータサイエンティストなどがいなくても、人工知能(AI)を短期間・低コストで実装することが可能となる。
三菱電機は、膨大なデータからの学習を通して認識・分析・推論を行うアルゴリズムを自動設計する「ディープラーニングの自動設計アルゴリズム」を開発した。同技術の活用により専門知識を持つデータサイエンティストなどがいなくても、人工知能(AI)を短期間・低コストで実装することが可能となる。
ディープラーニングにより、従来コンピュータでは不可能とされていた高度な情報処理が可能となり、これを実装したAIの活用によってさまざまな分野でイノベーションが起こると考えられている。無形資産をベースとしたプラットフォームの構築、情報の提供を手掛けるアスタミューゼによれば、AIの基礎となる深層学習・表現学習部分の世界市場は、2015年で60億ドル(約6300億円)、20年にはAI関連のグローバル市場規模で1200億ドル(約12.5兆円)に達するとのこと。一方、ディープラーニングの設計は高度な数学的知識を持つ専門家が試行錯誤しながら膨大な時間をかけて行う必要があり、そのことがAI導入の足かせとなっていた。
「ディープラーニングの自動設計アルゴリズム」では、学習データの中から最も特徴的なデータを重複なく抽出しながらディープラーニングのネットワーク構造や初期パラメーターなどを自動設計。機器の使用環境に合わせた高度な推論処理が実行できるとのこと。これにより、専門家による作業が不要となり、運用コストの削減や、幅広い分野でのAIの応用を可能とする。また、従来数日~数週間を要したAIへのアルゴリズム実装期間を数分~数時間に短縮するとのこと。
AI開発の課題とされている、ディープラーニングにかかる膨大な学習時間に関しては、すでにNTTも学習時間を5分の1にする技術の検証を進めている。今回の「ディープラーニングの自動設計アルゴリズム」では、学習時間の短縮に加え世界で初めて専門技術者の介入も不要とすることで、AI開発の敷居をさらに低くしている。同技術の活用により、非専門家によるAI導入が容易になり、多くの分野で進むイノベーションを加速すると考えられる。(編集担当:久保田雄城)