物流業界が「無人化」へ大きく前進

2016年10月17日 07:14

画・物流業界が「無人化」へ大きく前進

人手不足が深刻化する物流業界では「無人化」への取り組みが加速している。各社がロボットによるピッキングや無人配送車(AGV)を進化させて効率化を図り、2020年以降は無人の自動車と無人のドローンが配送するという全く新しい物流社会が実現するかもしれない。

 人手不足が深刻化する物流業界では「無人化」への取り組みが加速している。各社がロボットによるピッキングや無人配送車(AGV)を進化させて効率化を図り、2020年以降は無人の自動車と無人のドローンが配送するという全く新しい物流社会が実現するかもしれない。

 発送先によって商品を詰めていく作業「ピッキング」をはじめとする一部の作業は、未だ人海戦術をとっているところが多い。そこで、「多軸ロボット」によるピッキングシステムを提案しているのが、産業用ロボットによる自動化システムが強みの旭興産(山口県岩国市)だ。対象物のデータをプログラムすることで、異なる形の商品をピッキングできるという。ホクショー(金沢市)は音声で指示を行うことで両手を塞がずにピッキングできるシステムを提案。マキテック(名古屋市熱田区)はAGVと産業用ロボット、コンベヤー、治具を融合したピッキングシステムを開発した。

 一方でAGVも進化を遂げている。東芝<6502>は、認識性能を向上し、市販のビニールテープをガイドに使用できる小型AGVを開発。走行プログラムはエクセルで変更できるという。日立製作所<6501>はロボットとAGVを融合したシステムを開発、20年を目途に物流施設の自動化を目指すとした。オムロン<6645>は、人工知能(AI)を搭載したAGVを17年1月に投入する。自ら最適なルートを弾き出し、自動で人や障害物を回避できる。ダイヘン<6622>はガイドテープがなくても自律走行が可能なAI搬送ロボットを発表。ワイヤレス給電システムを搭載し、自動給電によって24時間フル稼働できる。

 また、産業構造審議会新産業構造部会は20年までにドローンの管理システムをAIに任せて、20年以降は無人の自動車と無人のドローンが連携して配送するという新しい物流社会の実現に挑戦する。

 しかし、ハッキングや無人配送による事故が起れば、ドローンやロボットへの信頼が失墜するだろう。コンピューターで制御する以上はハッキングやエラーなどの可能性が否定できない。検査とメンテナンスを徹底し、ハッキングや事故の防止策を確立する必要がある。(編集担当:久保田雄城)