【今週の振り返り】トランプ・リスクの再燃で541円下落した週

2016年11月05日 20:11

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FBIの捜査官が、職務に忠実なのは結構。だが、FBI幹部の捜査方針の変更が大統領選挙投票日直前のタイミングでは、ウォール街も兜町も、想定外の災難。

 2日の日経平均は大幅反落。ヨーロッパ市場は軟調。原油先物価格が3営業日続落した上に、投票日1週間前で世論調査に「トランプ氏逆転優勢(ワシントンポスト)」という結果まで現れ、NYダウは105ドル安で4日続落。NASDAQ、S&P500は6営業日続落。ダウは一時200ドルを超える下げで、シカゴの恐怖指数が上昇し金先物が大きく上昇した。9月の新車販売は低迷しGMはマイナス、クライスラーのFCAUSは2ケタ減、フォードは発表延期。日本勢も富士重工<7270>はプラスだったがトヨタ<7203>、日産<7201>、ホンダ<7267>はマイナス。ISM製造業景況感指数は51.9で市場予測を上回り、2ヵ月連続50以上。18業種中10業種がプラスと好調だった。企業決算はロイヤル・ダッチ・シェルが黒字転換、BPが純利益35倍と石油大手の採算は大幅改善したが、医薬品のファイザーは大幅減益。一時は103円台まで円高進行したドル円は朝方104円台前半、ユーロ円は115円台前半。CME先物清算値は17240円で、大阪夜間取引終値も17240円。

 日経平均始値は204円安の17238円。高値は9時54分の17283円。安値は1時48分の17080円。終値は307円安の17134円。日銀は前日「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を発表。黒田総裁は記者会見で「デフレマインドは相当強く、払拭に相当な時間を要している」と白旗をあげて、2018年4月までの任期中の物価上昇率目標2%の達成を断念した。見通しは「2018年度ごろ」に先送り。ウォールストリートジャーナルが、武田薬品<4502>がカナダの医薬品大手バリアントの胃腸薬事業を100億ドルで買収すると報じ、東証は武田株の売買停止措置をとった。バリアントのこの事業はアイルランドの企業と競争してアメリカ企業の買収に成功したものだが、会計不祥事で財務が傷ついたので武田に売ってケアしようという意図らしい。武田薬品のウェバー社長はフランス人。バリアントの本社があるケベック州はフランス語圏。フレンチ・コネクションなのか?

 日経平均は204円の大幅安で始まり、前場は17200円台の前半と後半の間を往復する。為替のドル円は104円台を守れず103円台へ円高進行。10時台後半からは上海市場の下落の影響を受けてさらに軟調になり、11時台は17200円を割り込み安値更新。飛び石連休前の利益確定売りもあるが、やはりトランプ・リスクが重苦しい。前引けは241円安の17200円で、3日連続日銀買いの資格十分。

 後場は下げ幅が300円前後の17100円台半ばで再開し、1時台には17100円を何度も割り込むが、17000円割れという事態には近づかない。それが日銀効果か? 9月SQ値が17011円、25日移動平均線が16985円にあり17000円前後は強力なサポートライン。2時に内閣府が10月の消費動向調査を発表し、消費者態度指数は前月比で0.7ポイント低下し42.3だった。消費者心理の基調判断は「持ち直しの動きがみられる」で据え置き。2時台は17100円を割らなくなり、終盤はいくぶん持ち直したものの307円安で終了した。日銀は3日連続でETF買いを実施していたが、その金額が707億円から706億円に1億円減額されていた。

 日経平均終値は307.72円安の17134.68円、TOPIX終値は-24.75の1368.44。売買高は20億株、売買代金は2兆2079億円でともに大台に乗せた。値上がり銘柄数は173、値下がり銘柄数は1768の全面安。プラスは鉄鋼、食料品の2業種。マイナスは31業種で、その下位は非鉄金属、海運、保険、ガラス・土石、不動産、輸送用機器など。上海総合指数は0.63%安。アジアの株式市場も軒並み安。株安の地球周回のA級戦犯はクリントン氏のメール疑惑を蒸し返し、大統領就任後の報復人事など恐れない度胸のすわったFBI。