【今週の振り返り】中国リスクは前場で消化し328円上昇した週

2016年10月22日 20:16

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中国人民銀行演出「午前10時のマチネー」。中国リスクにまた振り回され、情けないと、ため息をつく間に、20日まで5連騰。相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中に育つ。

 17日の日経平均は続伸。前週末14日のNYダウは39ドル高。NASDAQ、S&P500も小幅高。小売売上高は市場予測通りで、ミシガン大学消費者態度指数速報値は市場予測を下回るなど経済指標はかんばしくなく、イエレン議長のボストン連銀主催イベントの講演は金融政策への言及なし。それでも金融セクターの決算が良くドルが買われて株価は反発した。NY時間の為替のドル円は104円台前半、ユーロ円は114円台前半。CME先物清算値は16875円、大阪先物夜間取引終値は16900円だった。17日朝方のドル円は104円台前半、ユーロ円は114円台前半。

 日経平均始値は15円高の16871円。高値は9時34分の16954円。安値は10時55分の16821円。終値は43円高の16900円。北朝鮮はミサイルの打ち上げに失敗したが、独自の宇宙ステーション建設をめざす中国の有人宇宙船のほうは早朝、打ち上げに成功。取引時間前に為替のドル円がズルズル円高に振れて15分前開始の先物はマイナスだったが、現物はプラスで始まる。TOPIXもすぐにマイナスからプラスに転換。ドル円が104円を割りそうになっても序盤は16900円を突破して上値追い。17000円へあと46円の16954円まで上がる。ところが10時台になると中国が人民元の基準値を再び6年ぶりの安値に設定し地球の上では中国リスク再発。ドル円は104円を割り、日経平均は16900円を割ってマイナスに落ち16821円まで急落する。それでも11時台にはプラス圏を回復。前引けは24円高でTOPIXもプラスになり、日銀のETF買いの可能性はほぼなくなった。

 後場は16900円台まで戻して再開するが、0時台は16900円を守れない。それでも小幅プラス圏は維持し、反発して1時台は16900円台にまた乗せる。前場同様、下げても反発力がある。8月の鉱工業生産指数確報値は+1.3%。9月のマンション発売は、首都圏は+40.9%、近畿圏が+4.0%。秋の販売シーズン入り。首都圏は価格がここ数年でかなり上がっており、売れるかどうかは別問題。2時台は16900円をはさんで上がったり下がったりで、16920円付近で頭を抑えられ17000円チャレンジはおあずけ。終盤も特に波乱はなく終値で16900円をギリギリ確保。前日の新潟県知事選挙で柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な姿勢をみせる候補が当選し、東京電力HD<9501>が33円と7%超えの大幅反落。

 新規IPOが1件。「クロスボーダー投資」をコンセプトに企業投資、不動産投資などのファンド運用や自己投資の事業を行うマーキュリアインベストメント<7190>が東証2部に新規上場。公開価格1450円より4.13%安い1390円の初値がついて黒星。東証2部上場の新規IPOの成績は良くない。マザーズ、ジャスダックになおいっそう流れそう。

 日経平均終値は43.75円高の16900.12円、TOPIX終値は+5.37の1352.56。売買高は15億株、売買代金は1兆6333億円で9月30日以来、2兆円に全く届かない。値上がり銘柄数は1204、値下がり銘柄数は624。プラスは26業種で、その上位は鉱業、鉄鋼、不動産、非鉄金属、ガラス・土石、電気機器など。マイナスは電気・ガス、水産・農林、石油・石炭、情報・通信、パルプ・紙、建設、小売の7業種。人民元安で上海総合指数は0.73%安だった。

 18日の日経平均は3営業日続伸。ヨーロッパ市場は揃って下落。NY連銀製造業景況指数はプラスの市場予測に反し大幅に悪化し3ヵ月連続マイナス。鉱工業生産は2ヵ月ぶりのプラスで市場予測と一致。設備稼働率は0.1ポイントのプラス。バンク・オブ・アメリカ決算は増収増益。フィッシャーFRB副議長は講演で低金利のリスクを主張したが「それでもすぐに利上げすればいいわけではない」とも述べた。原油先物が6日ぶりに50ドルを割ったこともあり週明けのNYダウは51ドル安。朝方の為替レートはドル円が103円台後半、ユーロ円が114円台前半で少し円高。CME先物清算値は16850円。大阪夜間取引終値は16840円。

 日経平均始値は37円安の16862円。高値は2時33分の16966円。安値は9時25分の16844円。終値は63円高の16963円。日経平均もTOPIXも小幅安で始まる。序盤は16850円を割り込むなどマイナス圏でウロウロするが、10時の時報を聞くと中国人民銀行が人民元の基準値を高く設定したことで一気にプラスに浮上し16900円台に乗せる。忘れた頃に中国の金融政策に左右される東京市場がよみがえる。徐々に円安方向に向かう為替のドル円と連動し10時台は高値更新が続き、11時すぎには16950円に迫る。前引けにかけて下がってもプラス圏・16900円台は維持した。TOPIXはプラスとマイナスの間で揺れ動いたが、結局はプラス。

 後場は日経平均はプラス圏だが少し安く、TOPIXはマイナスで再開。0時台に一時マイナスになる時間帯もあった。1時台は小幅高水準で推移するが、2時台後半になると為替のドル円が104円に接近する円安進行で19500円を超えて高値更新。建設セクター、不動産セクターが買われる。しかし17000円チャレンジまでは至らず大引け。前日に続いて日銀のETF買いは入らなかった。

 日経平均終値は63.49円高の16963.61円、TOPIX終値は+4.01の1356.57。売買高は15億株、売買代金は1兆7731億円。値上がり銘柄数は1272、値下がり銘柄数は564。プラスは25業種で、その上位は水産・農林、パルプ・紙、建設、不動産、電気・ガス、化学工業など。マイナスは8業種で、その下位はゴム製品、鉱業、倉庫、証券、保険、情報・通信など。上海総合指数は1.40%高だった。

 19日の日経平均は4営業日続伸。英国の9月のCPIがポンド安で前月比0.2%上昇し、ヨーロッパ市場は反発。アメリカは7~9月期の決算発表シーズンたけなわ。前日のIBMは悪かったがネットフリックスはかなりの好決算で、エンタメは強し。この日発表のゴールドマンサックスは47%の大幅増益で、ユナイテッドヘルスともどもEPS(1株当たり利益)が市場予測を上回った。取引終了後発表のインテルもヤフーも増収増益でEPSは市場予測を上回る。アメリカの9月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%上昇で、NAHB住宅市場指数とともに市場予測と一致した。原油先物価格も50ドル台を回復しNYダウ終値は75ドル高。朝方の為替レートはドル円が103円台後半、ユーロ円が114円近辺。CME先物清算値は16945円。大阪夜間取引終値は16930円だった。