世界のR&D支出トップ1000社の支出額は6,800億米ドル 日本企業ではトヨタが10位にランクイン

2016年11月06日 19:06

 PwCコンサルティングStrategy&は、2016年グローバル・イノベーション調査を実施した。この調査は、研究開発に多額の費用を投入した世界の上場企業のトップ1000社を「グローバル・イノベーション1000社」として特定し、研究開発が企業業績に及ぼす影響等について評価を行い、高い費用対効果を生むためには何が手がかりになっているのかを探るために毎年実施しているものである。

 それによると、R&D支出トップ1000社のR&D支出額は6,800億米ドルと、前年比0.04%増で大幅な上昇は見られなかった。一方で売上高は16兆米ドルで昨年比11.8%減であったという。

 日本企業は165社がトップ1000社にランクイン、そのR&D支出は合計1,010億米ドルで、米国に次いで第2位であったが、R&D支出額(8%減)、ランクイン企業数(16社減)ともに昨年比減少している。特にランクイン企業数は調査開始の2005年の276社から大きな減少がみられる。トヨタ自動車が10位にランクインしている。

 産業別では、上位3位は多い順に、コンピュータ・エレクトロニクス、ヘルスケア、自動車であった。2005~2016年のR&D支出成長率はソフトウエア・インターネットが15.4%と最も高かった。このまま推移すると2018年にはソフトウエア・インターネットは自動車を抜き第3位の業界となるとみられる。また、ヘルスケアは3.6%増で同様に2018年にはコンピュータ・エレクトロニクスを抜いて1位になるとみられるとしている。

 R&D支出の対象については製品ハードウエアの開発から、ソフトウエアやサービスの開発へのシフトがみられる。ソフトウエアやサービスへのR&D支出の平均割当率は2010年から2015年までに54%から59%に増加し、2020年までには63%に増加すると予想されるという。

 Strategy&のイノベーション・R&D担当プリンシパルのバリー・ヤルゼルスキ氏は「従来型産業においてすら、ソフトウエアとサービスの増加は、ソフトウエア開発、製品関連データの収集・分析プラットフォームを提供できる人材採用増の動向を生み出した。この動向によって、ビジネススクールも既に提供するコースの種類を見直しているほどであり、教育、そして、より全般的な未来の雇用の両方に、甚大な影響を及ぼすであろう」と述べている。(編集担当:慶尾六郎)