【今週の振り返り】トランプ・ラリー日米連動で592円上昇した週

2016年11月19日 20:09

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アッと言う間にドル円は110円突破。アッと言う間に日経平均は18000円突破。カラ売りポジションをあわてて買い戻す「踏み上げターボ」も効きスピード違反気味。

 朝方はドル円108円台半ばまで円高が進行したため95円安で始まるが、9時台は17800円台に乗せるなど意外に底堅い。しかし10時前から17800円を割り込む。10時台は奇妙な値動き。マイナス金利を守るために日銀が初めて国債の指値オペ(公開市場操作)を実施というニュースで瞬間プラスにタッチしても元に戻ったかと思うと、後半は徐々に上昇して11時台にはプラス圏に乗せる。為替のドル円は109円台に乗った。いったんマイナス圏まで退きながら、前引けはわずか1.88円のプラスで売り買いが拮抗。TOPIXがマイナスなので、日銀のETF買いが入る可能性が一応出てきた。

 後場は為替が再び109円を割り込んだためにマイナス圏で再開し、おおむね17800円台前半の小幅安で、プラスに浮上できそうでできないまま1時台も2時台も推移する。夜の「安倍・トランプ会談待ち」。しかし終盤にドル円が109円台に再び乗り、TOPIXがプラスに転換。大引け直前の土壇場で日経平均もプラスになって続伸して終了。1円未満でもプラスはプラスで、わざとらしい幕切れだった。日銀の706億円のETF買いは入らなかった。6営業日連続で入っていない。

 フォードのCEOがトランプ氏の「メキシコ製品に35%の関税を課す」という公約に異議を唱えた。北米生産でメキシコ工場の比率が半分近くと高い日産<7201>は終始マイナスで0.92%安。楽天<4755>はサッカー界の強豪中の強豪、FCバルセロナのスポンサーになったが材料にならず2.61%安。

 日経平均終値は0.42円高の17862.63円、TOPIX終値は+1.43の1423.08。売買高は23億株、売買代金は2兆4285億円。値上がり銘柄数は1069、値下がり銘柄数は772。プラスは23業種で、その上位は空運、鉱業、食料品、その他製品、陸運、電気・ガスなど。マイナスは10業種で、その下位は証券、保険、銀行、非鉄金属、その他金融、輸送用機器など。上海総合指数は0.10%高だった。

 18日の日経平均は3日続伸。ユーロ圏の消費者物価指数(CPI)速報値は+0.5%で市場予測と一致。9月から伸びが加速した。12月のECB理事会の焦点、非伝統的金融緩和政策についてメルシュECB理事が「可及的速やかに終了する必要がある」と発言したが、ヨーロッパ市場は軒並み上昇した。イエレンFRB議長は議会証言で「比較的近い機会に」と12月の利上げを示唆しアメリカの長期金利は上昇。トランプ次期大統領による更迭発言には「任期を全うする考えだ」と述べた。

 アメリカの消費者物価指数(CPI)は+0.4%で市場予測と一致したが3ヵ月連続の上昇。住宅着工件数は前年比+25.5%で9年2ヵ月ぶりの高水準。週間失業保険申請件数も良かったが、トランプ氏の支持基盤「ラストベルト(錆びた地帯)」を管轄するフィラデルフィア連銀製造業景況指数は7.6で前回値も市場予測も下回った。この「好況に取り残された怨念」が投票所で炸裂したのか? ウォルマートの決算が悪い。原油先物価格は続落したが、NYダウは35ドル高と反発し終値で18900ドル台に乗せた。NASDAQもS&P500もプラス。金先物はドル高のために下落した。朝方の為替レートはドル円が110円台前半、ユーロ円が117円近辺。ドル高円安はスピード違反気味。CME先物清算値は18100円。大阪夜間取引終値は18080円。

 日経平均始値は161円高の18024円。高値は9時9分の18043円で、安値引け。その終値は104円高の17967円。取引時間前に安倍首相とトランプ次期大統領の初会談がニューヨーク五番街のトランプ・タワーにあるトランプ氏の私邸で始まった。トランプ氏には初の「首脳会談」。日経平均は18000円に乗せて始まる。ザラ場の大台クリアは1月7日以来。序盤はドル円が110円を割る時間帯もあったが、日経平均は大台を堅持。それでも10時前になると18000円を割り込む。その後、何度も大台割れを起こすが、そのたびに反発して乗せるのがこの日の特徴。18000円をはさんで行ったり来たりし、前引けは18011円。安倍・トランプ会談は1時間以上に及んだが、通訳しか入らず私的な会見に近く、内容は明らかにされなかった。前場を通じて円安が進みドル円は110円台半ばに達した。

 後場は前引けよりやや高い水準で再開するが、ドル円は110円台後半でも前場同様にたびたび大台割れを起こす。キリのいい18000円が売りのターゲットプライスになっている模様。1時台、2時台前半はますます小動きになり、18000円にへばりつく。為替も動かない。終盤は少し上への動きが出るが、利益確定売りの金曜日ゆえに大引け直前にドンと売り込まれ安値引け。1月6日以来の終値18000円台はお預けになった。

 新規IPOが1件。1階が駐車場、2階以上が店舗の「空中店舗フィル・パーク」の企画、設計、建築を手がけるフィル・カンパニー<3267>が東証マザーズに新規上場。大引けまでに初値がつかず、公開価格1310円の約2.3倍の3015円の買い気配で初値は来週に持ち越した。「どんな会社か?」を人に説明しやすい銘柄は人気化しやすい。

 日経平均終値は104.78円高の17967.41円、TOPIX終値は+5.38の1428.46。売買高は25億株、売買代金は2兆7241億円。値上がり銘柄数は1333、値下がり銘柄数は523。プラスは24業種で、その上位は海運、輸送用機器、ガラス・土石、その他製品、金属製品、非鉄金属など。マイナスは9業種で、その下位は医薬品、保険、食料品、鉱業、電気・ガス、情報・通信など。上海総合指数は0.48%安だった。

 今週の星取は4勝1敗。前週末11日の終値17374.79円から592.62円上昇して今週の取引を終え、2週間で1062円上がった。919円安で東京株式市場が地獄を見た9日の終値と比べると、0.42円高の辛勝もあったものの7営業日で6勝1敗というハイペースで1715円も高い。日米連動の上昇局面が終わりそうで終わらず、カラ売りポジションをあわてて買い戻す「踏み上げ」のターボチャージャーも作動して加速した。後々「トランプ当選相場」と語り継がれるのだろうか?(編集担当:寺尾淳)