今週、11月第5週(28~30日)および12月第1週(1~2日)は5日間の取引。英国EU離脱とトランプ氏当選で、世界が予想外のビッグサプライズに2度も翻弄された2016年も、はや最終月の師走。「ヒット商品番付」や「新語・流行語大賞」の発表が近い。「今年の漢字」は「驚」か?「票」か?
11月30日にOPECの定例総会がある。12月に入れば「FOMCで利上げが決定」がもはやマーケットでは既成事実化。2日には今年最後のアメリカ雇用統計の発表がある。
世界の主要株式市場の休場日は、11月30日にフィリピンが休場する。
国内の経済指標、イベントは、12月1日の法人企業統計が最も重要。11月30日は臨時国会の会期末だが、会期が延長になる可能性がある。11月29日には10月の失業率、有効求人倍率、家計調査(二人以上世帯実質消費支出)、商業動態統計(小売業販売額など)、30日には10月の鉱工業生産指数速報値、住宅着工件数、建設機械出荷額、12月1日には7~9月期の法人企業統計、11月の新車販売台数、2日には11月のマネタリーベース、ファーストリテイリング<9983>の国内ユニクロ既存店売上高が、それぞれ発表される。
主要銘柄の決算発表は少ないが、「投資妙味」という点では粒よりのラインナップ。11月28日はダイドードリンコなど。29日は内田洋行、菱洋エレクトロなど。30日はトリケミカル、ACCESSなど。12月1日は伊藤園など。2日は三井ハイテック、日本駐車場開発、ロックフィールドなど。
新規IPOは今週3件で、全て11月29日で市場は東証マザーズ。12月は例年と同じように「師走の新規IPOラッシュ」になる。
JMC<5704>は横浜市が本社で、3Dプリンター、砂型鋳造による試作品、各種部品・商品の製造、販売を行う。公開価格は960円。「ものづくり企業」として投資家から注目されそうだ。
エルテス<3967>は東京が本社で、情報漏えい、サイバーアタック、ネット上の風評被害、炎上などのデジタルリスクの検知に特化し、ビッグデータ解析によるソリューションの提供を行う。公開価格は1790円。広い意味でのサイバーセキュリティ関連企業。
スタジオアタオ<3550>は神戸市が本社(東証の届出は東京)で、主に女性向けのオリジナルのバッグ、財布などの企画・販売を行う。公開価格は3030円。「ATAO KOBE」のブランドで、デパート、直営店、ネットを通じて販売。ファッション業界は洋服よりも小物のほうが業績が安定している。
海外の経済指標、イベントは月末月初でアメリカでは12月1日のISM製造業景況指数など重要な経済指標が目白押し。12月1日には中国でPMIも発表される。アメリカの雇用統計とその前座のADP雇用統計以外に、ドラギ総裁の議会証言、OPEC定例総会もイベントとして重要になる。
11月28日にドラギECB総裁が欧州議会で議会証言を行う。OECDが2017年の世界経済見通しを発表する。この日は「サイバーマンデー」。ネット通販のセールの日だが、現在はもはや、感謝祭の前後は毎日がサイバーマンデーのようなもの。
11月28日には中国の1~10月の工業企業利益、アメリカの11月のダラス連銀製造業活動指数、29日にはアメリカの7~9月期のGDP改定値、9月のS&PコアロジックCS住宅価格指数、11月の消費者信頼感指数、30日にはインド、ブラジルの7~9月期のGDP、アメリカの11月のADP雇用統計、10月の個人所得、個人支出、11月のシカゴ購買部協会景気指数、10月の中古住宅販売仮契約が、それぞれ発表される。
11月30日にFRBの「ベージュブック(地区連銀経済報告)」が発表。ブラジルが政策金利を発表する。この日、ウィーンでOPECの定例総会が開かれるが、原油先物価格を通じてNYダウへの影響が大なので要注意。
12月1日には中国の国家統計局の11月の製造業PMI、非製造業PMI、財新の11月製造業PMI、ユーロ圏の10月の失業率、アメリカの10月の建設支出、11月のISM製造業景況指数、新車販売台数、2日にはオーストラリアの10月の小売売上高、アメリカの11月の雇用統計(非農業部門雇用者数の伸び、完全失業率)が、それぞれ発表される。
12月4日、マーケットが「投票」に振り回されたこの1年の締めくくりとして、ヨーロッパのユーロ圏で重要な投票が2つある。イタリアでは議会制度を変える憲法改正の国民投票があり、レンツィ首相が進退をかける。オーストリアでは出直し大統領選挙がある。
アメリカの主要企業の決算発表は、11月29日にティファニー、オートデスク、30日にブラウン・フォーマン、12月1日にダラー・ゼネラルが発表する予定。
前々週から前週にかけてのローソク足チャートを見ると、まるで「天国への階段」のようなパターンを描いた。光り輝くものはみんな黄金だと確信している女性が、金色ずくめのあのトランプ・タワーでそれを買ったのか? 25日終値18381円のテクニカル・ポジションを確認すると、前々週、前週に続いて主な移動平均4本は全て下にある。5日移動平均は18190円で191円下、25日移動平均は17497円で884円下、75日移動平均は16986円で1395円下、200日移動平均は16628円で1753円下。どの移動平均も18日の段階から上向いてはいるが、日経平均の休みなき上昇に置いていかれた。
日足一目均衡表の「雲」は、25日は16538~16790円に位置していた。終値18381円は雲の上限より1591円も上にある。今週の雲はその厚さが100円を少し超える程度だが、11月28日の16759~16897円から12月2日の16838~16949円へ、上限も下限も上がっていく。そして12月8日に上限のピーク17078円をつける。その後、12月の後半に「上限=下限」になって、魔法にかかったように雲が消えてなくなるミステリアスな現象が起こる。予想外の出来事が多かった今年の締めくくりにふさわしいか?