【今週の展望】要人発言で下げても17000円の防衛力は高い

2016年11月13日 20:19

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もしFRB首脳やトランプ氏の発言が為替の円高、日経平均の下落を招いても、決着がついて大イベントを通過した効果は決してあなどれない。

 今週、11月第3週(14~18日)は5日間の取引。アメリカ大統領選挙という世界を巻き込む一大イベントを通過したら、北国から、山国から紅葉前線が近づき、いつの間にか秋が深まっていた。北海道は早くも大雪。

 世界の主要株式市場の休場日は、14日にインド、15日にブラジルが休場する。

 国内の経済指標、イベントは、14日のGDPが最も重要。14日には7~9月期のGDP速報値、9月の鉱工業生産指数確報値、15日には10月の首都圏・近畿圏新規マンション発売、16日には10月の訪日外国人客数、18日には10月の日本製半導体製造装置BBレシオが、それぞれ発表される。

 16日に黒田日銀総裁が名古屋市で講演し、その後で記者会見を行う。17日にNYで安倍・トランプ会談が行われる予定。安倍首相はその足で、ペルーのリマで開かれるAPEC首脳会合に出席する。18日に証券各社の2017年の経済の見通しが出揃う。

 主要銘柄の決算発表は15日が4~9月期中間期決算の東証の推奨期限。14日はメガバンクなど金融大手、18日は損保大手の各社が発表する。

 14日は光通信、住友ベークライト、横浜ゴム、DIC、住友不動産、東映、電通、そーせい、日本郵政、九州FG、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、みずほ、アイフル、ソニーFH、サイバーダイン、三井住友トラスト、第一生命、三菱UFJ、 三井住友FGなど。15日はあおぞら銀行など。18日はSOMPOHD、東京海上HD、MS&ADHDなど。

 新規IPOは今週は1件。18日にフィル・カンパニー<3267>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、1階を駐車場、2階以上を店舗として土地を有効に活用する「空中店舗フィル・パーク」の企画、設計、建築を手がける。敷地が狭い市街地の外食や小売のチェーン店でよく見かける建物。公開価格は1310円。

 海外の経済指標、イベントは、アメリカの15日の小売売上高、NY連銀製造業景気指数、16日の鉱工業生産、17日の住宅着工件数、フィラデルフィア連銀製造業景況感指数がいずれも重要。

 14日には中国の10月鉱工業生産、小売売上高、都市部固定資産投資、ユーロ圏の9月の鉱工業生産指数、15日にはユーロ圏の9月の貿易収支、7~9月期のGDP改定値、ドイツの7~9月期のGDP、11月のZEW景況感指数、アメリカの10月の小売売上高、11月のNY連銀製造業景気指数、10月の輸出入物価指数、9月の企業在庫、16日には英国の10月の失業率、アメリカの10月の生産者物価(PPI)、鉱工業生産・設備稼働率、11月のNAHB住宅市場指数が、それぞれ発表される。

 16日にEU財務相理事会が開かれる。17日にトランプ次期大統領の「仮想敵国」メキシコで政策金利が発表される。

 17日にはオーストラリアの雇用統計、ユーロ圏の10月の消費者物価指数(CPI)、アメリカの10月の消費者物価指数(CPI)、住宅着工件数・建設許可件数、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、18日にはアメリカの10月のCB景気先行総合指数が、それぞれ発表される。

 今週はFRB首脳のイベントが多い週で、イエレン議長は17日に連邦議会で議会証言を行い、フィッシャー副議長は15日に講演を行う。15日にタルーロ理事、17日にブレイナード理事、18日にパウエル理事がそれぞれ講演を行う。週の後半はペルーの首都リマでAPECウィーク。17~18日に閣僚会合、19~20日に首脳会合が開かれる。

 アメリカの主要企業の決算発表は小売業が多い。14日にトランスダイムG、アドバンス・オート・パーツ、15日にホーム・デポ、TJX、アジレント・テクノロジー、16日にターゲット、シスコシステムズ、Lブランズ、ネットアップ、ロウズ、17日にベストバイ、ウォルマート、アプライド・マテリアルズ、ロス・ストアーズ、インチュイト、セールスフォース・ドットコム、GAP、18日にフット・ロッカーが発表する予定。

 前週末11日の終値は17374.79円だった。そのテクニカル・ポジションを確認すると、主な移動平均線は全て下にある。25日移動平均は17101円で273円下、5日移動平均は17063円で311円下、75日移動平均は16800円で574円下、200日移動平均は16589円で785円下だった。今年に入って下がる一方だった200日線は前週、下げ止まって上向きに転じた。トレンド転換の兆候なのか?

 日足一目均衡表の「雲」は、11日時点では200日移動平均をその中に包み込んで16538~16642円に位置していた。その上限は11日終値からみて732円も下にある。前週はアメリカ大統領選挙開票日の9日後場、7月以来久々に雲の下の世界をのぞき見たが、翌10日は前場早々に雲を上に突き抜けた。今週の雲の下限は引き続き16538円で固定だが、上限は14日の16674円から16725円、16731円と徐々に上昇していく。雲の上限は12月8日の17078円まで上昇が続いていく。

 ボリンジャーバンドは25日線-1σの16825円と+1σの17377円の間の「ニュートラル・ゾーン」に位置している。とはいえ、+1σまでは3円の差しかなく、ほとんどその線上にあるので、上がりすぎたとは言えないが、「上値は限定、下値方向に動きやすい」というポジションとみて差し支えない。

 オシレーター系指標は、「買われすぎ」「売られすぎ」のシグナルは1つも点灯していない。比較的高いポジションなのが25日騰落レシオで114.0。比較的低いポジションなのがRCI(順位相関指数)の-44.8だが、それ以外の指標はニュートラルなものばかり。25日移動平均乖離率は+1.6%、RSI(相対力指数)は52.9、サイコロジカルラインは6勝6敗で50.0%のど真ん中。ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は43.0、ボリュームレシオは56.6である。総合すると全くのニュートラルで、上にも下にも動きやすい。