【今週の展望】感謝祭でマーケットは「トランプ離れ」するか?

2016年11月20日 20:02

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感謝祭明けは日米とも株価が上昇する時期。昨年は12月1日に日経平均は2万円を超えた。政策期待が企業業績への期待に移行する時、為替の円安が好環境として歓迎されるはず。

 今週、11月第4週(21~25日)は23日の水曜日が「勤労感謝の日」で祝日休場になるため、4日間の取引。

 世界の主要株式市場は、21日にメキシコが「革命記念日」で休場。100年前の革命には露骨に介入し、今また勝手に「国境の壁」を築いてはカネを要求してきそうな「あまりにも近い」そのアメリカは、24日に「感謝祭(サンクスギビング・デー)」で休場する。25日は「ブラックフライデー」でNY株式市場は債券、為替、商品市場ともども午後1時(日本時間午前3時)までの短縮取引になる。年末商戦の始まりで、市場関係者も午後、ウォール街からミッドタウンのデパートなどへ買物に繰り出す。28日はネット通販の「サイバーマンデー」。それらの結果は年末の米・中・日の株価にも影響しかねない。

 国内の経済指標、イベントは、21日の貿易統計がまず重要。25日は月末の金曜日だが、政府発表の統計はいつものラインナップでは消費者物価指数(CPI)だけ。有効求人倍率、失業率、家計調査(二人以上世帯実質消費支出)、鉱工業生産指数、住宅着工戸数などは来週発表される。

 21日には10月の貿易統計、9月の全産業活動指数、10月の全国コンビニ売上高、22日には10月の全国百貨店売上高、25日には消費者物価指数(CPI/10月全国、11月東京都区部)、10月の企業向けサービス価格指数が、それぞれ発表される。25日に7~9月期のGPIFの年金積立金運用成績が発表される。以前よりも株式の比率を高めているのでその変動が大きくなるのは当然。マスメディアは3カ月間の結果だけで「国民の年金資産の運用に失敗した!」などと騒ぎすぎ。

 主要銘柄の決算発表は完全に端境期。24日はプラネット、タカショー、25日はウチダエスコ、アインHDなどが発表する。

 新規IPOは今週1件。22日にWASHハウス<6537>が東証マザーズ、福岡Qボードに新規上場する。宮崎市が本社で「WASHハウス」という名称でコインランドリーのフランチャイズチェーンを運営している。9月末現在346店舗。出店エリアは九州一円、山口、広島から大阪、東京にも拡大した。防犯対策に力を入れ、毛布やカーペットも洗える大型機やスニーカー専用機を置くなど付加価値を高めている他、ガソリンスタンド、コンビニ、クリーニング店、持ち帰り弁当などとの併設店舗化も積極的。公開価格は2300円。

 なお、21日に東証1部に上場するクスリのアオキHD<3549>は、東証1部上場のドラッグストアチェーン、クスリのアオキ<3398>が持株会社化するもので、公募も売出もなく新規IPOではない。JPX日経400の採用は持株会社のほうに移る。11月中の新規IPOは来週29日に3件残っている。

 海外の経済指標、イベントはアメリカの住宅指標が重要になる。22日が中古住宅、23日が新築住宅の統計。

 21日にはアメリカの10月のシカゴ連銀全米活動指数、22日にはアメリカの10月の中古住宅販売件数、11月のリッチモンド連銀製造業指数、10月の北米半導体製造装置BBレシオ、23日にはアメリカの10月の耐久財受注、9月のFHFA住宅価格指数、10月の新築住宅販売件数が、それぞれ発表される。

 21日にECBのドラギ総裁が欧州議会で証言を行う。現在の欧州議会のメイン会議場はストラスブールではなくブリュッセル。23日に11月1、2日に開催されたFOMCの議事録が公表される。24日にはドイツの11月のIFO景況感指数、25日には英国の7~9月期のGDP改定値、アメリカの10月の卸売在庫が、それぞれ発表される。

 27日の日曜日に来年のフランス大統領選挙の中道右派の予備選挙の決選投票が行われる。EUに移民政策の変更を求めるサルコジ前大統領と穏健派のジュペ元首相の一騎討ち。中道右派は本選挙でも左派や国民戦線に勝てるとみられ、サルコジ氏が選ばれればトランプ旋風のヨーロッパ上陸と騒がれそう。

 アメリカの主要企業の決算は、21日にタイソンフーズ、22日にアーバンアウトフィッターズ、キャンベルスープ、ヒューレット・パッカード、ジェイコブズ・エンジニアリングG、アナログ・デバイセズ、23日にPVHコープ、ディアが発表する予定。

 前週末18日はザラ場で18000円を突破したが、終値は17967.41円だった。そのテクニカル・ポジションを確認すると、前週に引き続き主な移動平均4本は全て18日終値よりも下にある。5日移動平均は17806円で161円下、25日移動平均は17286円で681円下、75日移動平均は16884円で1083円下、200日移動平均は16614円で1353円下。どの移動平均も11日の段階から上向いている。

 日足一目均衡表の「雲」は、18日時点では16538~16731円に位置していた。18日終値は雲の上限から1236円も上にあり、まるで「成層圏」を飛行する飛行機。今週の雲は上限が徐々に切り上がり、21日は16768円だが22日、24日は16790円、25日は16871円になる。下限は24日までは16538円だが、25日は16578円に上がる。来週以降も雲の位置は上がっていき、12月8日の17078円が上限のピーク。その後、12月中旬に雲のパターンに不思議な波乱が起こる。

 ボリンジャーバンドでは、18日終値は25日線+1σの17651円と+2σの18016円の間にあるが、+2σはあと49円で届き、18日ザラ場には上回っていた。そのため上値は限定されるとみていいだろう。18日のザラ場もそうだったが、キリがいい18000円は今週もけっこう屈強でしつこいレジスタンスライン(上値抵抗線)になりそうだ。

 週間騰落が592円上昇してもオシレーター系指標は「買われすぎ」のオンパレードではなく、3個点灯。RCI(順位相関指数)が+90.9で買われすぎ基準の+50を大きく超え、ストキャスティクス(9日・Fast/%D)が97.0で買われすぎ基準の70を大幅にオーバーした。25日騰落レシオも134.2で、買われすぎ基準の130を上回っていた。しかしそれ以外は、25日移動平均乖離率こそ+3.8%で買われすぎ基準の4%(5%とする場合もある)に接近していたものの、ボリュームレシオは58.5、サイコロジカルラインは7勝5敗で58.3%、RSI(相対力指数)は57.4で、いずれも中位レベルだった。それでも総じて言えば「買われすぎ」に傾いている。