台湾の航空会社トランスアジア航空(復興航空)は11月22日に臨時取締役会を開き、経営悪化を理由に解散が決定された。2度の墜落事故でブランドイメージが低下、客足が遠のいたことで収益が悪化したという。
取締役会が開かれた22日には日本便を含む国際線14便が欠航。現地メディアでは5000人もの足に影響が出たと報じられている。日本路線では成田線2便、関西線2便、旭川線1便が欠航。22日以降も運航を取りやめ、航空券を購入している客に対して払い戻し手続や他社振替を案内している。
これを受けて台湾の大手航空会社チャイナエアライン(中華航空)は25日、台湾の内閣にあたる行政院の指示により、一部の国内線を除いてトランスアジア航空が運行していた路線を12月1日から台湾の旧正月後である来年2月15日まで暫定的に引き継ぐことを発表。それ以降の運航については改めて検討するとのことだ。
トランスアジア航空は日本にも就航していただけに、国内にも影響を及ぼしている。岩手県では25日から4市町120人観光関係者の訪問団が同社の飛行機で台湾を訪れる予定だったが、解散を受けて代替便確保などの対応に追われた。福岡では同社の定期便が12月に就航する予定だった。台湾路線は訪日観光客を取り込むためには重要であり、今後の観光産業への影響が危惧される。
今回の解散は過去2回の墜落事故が要因とされている。2014年7月には澎湖県にて緊急着陸に失敗し墜落するという事故が発生し、48人が死亡。15年2月には台北松山空港を離陸後に墜落し、43人が死亡した。事故後は搭乗率が6割程度に低迷し赤字経営を続けていた。
またLCCの参入失敗も要因の1つだ。同社は14年にVエアーを設立しLCCに参入したが、競争が激しい日台路線などで他社に押され10月に休業。参入投資も経営を逼迫していた。
需要が高い日台路線。各航空各社や観光客を取り込みたい自治体、観光産業などから、今後どのような方針がとられるのか注目が集まりそうだ。(編集担当:久保田雄城)