三菱自、役員報酬額上限枠を3倍の30億円に。ゴーン氏年俸50億円も可能に

2016年12月03日 19:07

Nissan CEO Carlos Ghosn at Nissan Headquarters.

三菱自動車が取締役への報酬総額上限枠を3倍、30億円とする方針で、12月14日の臨時株主総会で正式決定するようだ。辣腕経営者カルロス・ゴーン氏の年俸はルノー+日産+三菱自の合計で50億円も視野に

 三菱自動車が取締役に支給する報酬総額の上限枠をひとりあたりこれまでの3倍、30億円とする方針を打ち出して話題になっている。12月14日に千葉幕張メッセで開催する臨時株主総会で正式決定するようだ。

 三菱自動車は10月、日産自動車から議決権ベースで34%の出資を受け入れた。日産の出資額は2370億円で、日産は三菱自動車の筆頭株主となった。12月14日の臨時株主総会で三菱自動車会長にカルロス・ゴーン氏が就き、益子修会長兼社長が社長に留任する人事を発表する。燃費不正問題で業績が悪化した三菱自は日産傘下で経営再建を急ぐ。

 が、経営再建計画が明らかになっていない段階で、ホットな話題になっているのが、三菱自動車の役員報酬大幅増額の件だ。

 三菱自動車は報酬上限枠の拡大を「社外や海外も含めた優秀な人材の中から取締役を任命できるようにするため」としているが、高給取りで知られる「カルロス・ゴーン氏の高額報酬対策だ」という話題で喧々囂々、噂が渦巻いているのだ。

 現在、三菱自動車の定款では役員は40名以内としているが、これを15名に減員し、総額・年9億6000万円を限度としている取締役報酬額を、業績に連動させる仕組みを新設して年20億円以内に倍増。これとは別に年10億円以内の株価連動報酬などを設定する。つまり最高30億の役員報酬が実現する。11月29日、自社ホームページに掲載した株主総会招集通知に盛り込んだ。

 1990年代後半、ミシュランの再建などでコストカッターとの異名を得ていたカルロス・ゴーン氏は、経営危機に陥った日産に着任し、大胆である意味冷酷なリストラを断行して業績をV字回復させた。世界的な辣腕豪腕経営者として喧伝されてきた。一方で、桁違いな高額報酬でも話題を振りまいてきた人物だ。2015年度、日産がゴーン氏に支払った報酬は10億7100万円。自動車世界首位のトヨタ自動車社長・豊田章男氏の3倍ほどで、かなり高額なギャラといえる。

 ゴーン氏は日産の筆頭株主、仏ルノー会長も兼務しておりルノーからも2015年は8億円余りの報酬を得た。ルノーの報酬については筆頭株主のフランス政府から「高過ぎる」との批判を受け、2016年は減額とのことだが、三菱自動車の報酬が加われば総額は飛躍的に増え、年収50億円も視野に入る。

 実は、現在の三菱自動車の役員は10名(うち車外取締約4名)で、ひとりも1億円超の役員はいない。今回の臨時株主総会後の役員は11名(6名が社外取締役)となる。本年度三菱自動車は、燃費不正に伴う販売不振などで最終赤字に転落する見通しで、報酬を増額できる環境にはない。ゴーン氏が三菱自動車から高額報酬を得るには、業績のV字回復が必要絶対条件となる。(編集担当:吉田恒)