深刻な待機児童問題「会社員に有利、自営業に不利」で不満の声も

2016年12月04日 14:35

画・深刻な待機児童問題「会社員に有利、自営業に不利」て_不満の声も

匿名ブログ「保育園落ちた日本死ね!!!」が、国会で物議を醸したのは今年の2月。それからおよそ9か月後、今度は2016年11月9日付の匿名ブログ「ふざけんな世田谷!自営業を保育園に入れろ」が話題になっている

 匿名ブログ「保育園落ちた日本死ね!!!」が、国会で物議を醸したのは今年の2月。それからおよそ9か月後、今度は2016年11月9日付の匿名ブログ「ふざけんな世田谷!自営業を保育園に入れろ」が話題になっている。世田谷区の認可保育園入園選考の基準が会社員に有利な設定であることに対して不満をぶつけたものだ。

 世田谷区のホームページで『保育のごあんない 平成29年度』を確認すると保育の利用基準指数は、保護者の状況が外勤(会社員、公務員等)でも自営(フリーランスを含む)でも「週5日以上勤務し、かつ週40時間以上の就労を常態」であれば50。勤務時間などの状況に応じた指数が父母それぞれに算出され、合算して当該世帯の指数と見なされるので、父母ともに50ならば合算して100となり世田谷区の利用基準の最高指数だ。

 問題は、こうして算出された利用基準指数に加算、減算がなされる調整基準だ。この調整基準が自営業やフリーランスの保護者にとって八方塞がりともいえる設定になっている。「申込児の産休明け、又は育休明け予定の場合」は+5点と定められているが、自営業やフリーランスの場合、雇用保険に非加入のケースが多く、育休明けと認定されない。

 さらに育児休業給付金も発生しないため、出産後に仕事復帰をしない限りは収入も途絶える。そのため産後数ヶ月で仕事復帰をする保護者もいるが、もし自宅で育児の合間を縫って業務をすれば、調整基準の「保護者が申込児を自宅で保育している場合(産休・育休中は除く)」に該当し-6点となり、認可保育園入園に不利となる。

 自営業の保護者が、外勤で産休明け、育休明け予定の保護者と同指数になるのは「申込児を保育室、保育ママ、認証保育所、ベビーシッター等の認可外保育施設に有償で預けていることを常態としている場合」で、0歳児クラスは+5点、1~5歳児クラスは+6点。だが認可保育園以外の保育施設も空きが少なく、保育料は認可に比べて高額だ。

 世田谷区以外でも、認可保育園利用選考のルールが「会社員に有利、自営業に不利」に設定されている自治体はある。たとえば新宿区では、育休・育休復帰の場合+2点、同伴就労(申込児を連れて就労)の場合-1点、認可外保育園を利用していれば自営業でも会社員でも+2点。

 文京区では、育休明けが+3点、居宅内就労でかつ自営協力だと-1点、認可外利用で+1点と定められており、もし自営業の保護者が生後2ヶ月の子どもを認可外に預けて仕事復帰をしても、育休明けの保護者の+3点には及ばないことになる。そもそも「子どもを認可保育園に預ける」ために、産後の働き方や生活スタイルを左右させられる状況自体、育児中の保護者にとっては苦痛である。

 認可保育園入園選考の基準の見直しとともに、自営業者も会社員も子どもを安心して預けられるよう、申込児の受け皿確保が求められる。(編集担当:久保田雄城)