エン・ジャパンは自社の運営サイト「エン 人事のミカタ」上で「育児休業」についてアンケート調査を行ない233社から回答を得た。これによれば育児休業取得実績がある企業は女性で84%、男性で15%と女性の育児休業取得については高い水準に達している。
近年、役員会の女性比率が高い企業ほどROE(株主利益率)が高いなど、女性の活躍する企業の経営効果が明らかになり、このため女性活躍推進に向けたの政府の取り組みが盛んだ。女性の活躍する企業の経営効果については、育児介護支援などに取り組む企業は、何もしない企業に比べて生産性が2倍以上高いといった結果も出ている。また、男女勤続年数格差が平均以下の企業(利益率5.6%)は、平均以上の企業(利益率3.7%)に比べて利益率が高く、結婚・出産等による定年前退職者含む再雇用制度がある企業(利益率4.4%)は、ない企業(利益率4.2%)より利益率が高いことからも、女性の活躍できる職場環境作りが企業の経営力強化にとって重要だとされている。
エン・ジャパンは自社の運営サイト「エン 人事のミカタ」上で「育児休業」についてアンケート調査を行ない233社から回答を得た。これによれば育児休業取得実績がある企業は女性で84%、男性で15%と女性の育児休業取得については高い水準に達している。また、企業規模別の育児休業取得実績では、女性は100名以下の企業で77%、101名以上の企業で90%以上。男性は1~100名の企業で7%、501名以上の企業では35%となり、女性に比べ男性では企業規模による差が出ている。育児休業を設けることでの課題としては、73%の企業が「休業する社員の代替要員の確保とコスト」を挙げ、余剰人員を出す余裕のない中小企業ほど人員配置やコストの問題に頭を悩ませていることが判明。復職後に休業する社員のポストをどうするかで悩んでいる企業も47%あり、育児休業を設けることに対する課題が浮き彫りとなった。
前述した「代替要員の確保とコスト、育児休業からの復職後のポスト確保」といった課題は、待機児童の受け皿の確保などでは解決しない種類のものだ。体力に余裕のない企業にとって、代替要員の確保や環境整備のためのコストの捻出に困難を極めることもあるだろう。経済産業省が推進する「経営戦略としてのダイバーシティ」の一環として、ダイバーシティ経営企業の表彰・事例紹介などを実施しており、経営戦略の転換によって解決できる課題があることを示している。こうしたダイバーシティへの取り組み自体によって、企業の経営力が強化されると考えられるため、経営戦略の見直しはまず実施すべき企業側の努力だ。それとともに経済産業省などによる現場の課題に見合った具体的な政策の拡充が、ダイバーシティ経営企業を育てるためには必須だ。(編集担当:久保田雄城)