ナリス化粧品はこれまで消えないとされていた真皮のシミの改善メカニズムを発見した。第29回 国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)世界大会で発表された。
皮膚組織には大きく分けて表皮と真皮がある。肌の表面である表皮にできたシミに関しては、肌の新陳代謝を高める事によって過剰に生成されたシミの素・メラニンを排出することにより改善が見られたという。また、メラニンの生成を促す信号をブロックするという方法でも表皮のシミにアプローチすることができるようだ。
しかしながら、表皮の内側にある真皮にできたシミは従来の認識では消えないとされていた。真皮はリンパ管や血管なども通る皮膚の本体とも言える部分である。部位にもよるがその厚さは2ミリメートルほどで皮膚組織の大部分を占めている。皮膚の奥深くから根付いているシミは消すことができないというのが主流の考えで、研究すらほとんどされていないというのが実情であったという。
そのような中、同社は真皮にシミができるメカニズムに着目した。真皮においてコラーゲンやヒアルロン酸などの成分を生成し、結合組織を構成する線維芽細胞というものがある。この線維芽細胞が真皮にあるメラニンを取り込むという。メラニンを取り込んだ線維芽細胞は体内の不要な物質を分解するマクロファージを呼び寄せることが今回の発見で明らかになった。この一連のメカニズムを詳細に解析することにより、真皮内のメラニンの排出や分解ができる可能性が示唆された。
以上の発見により、美白美容でできる範囲が大幅に広がることだろう。シミは出来たからといって健康に大きな影響があるわけではない。しかし、多くの女性にとってシミは深刻な問題である。シミが出来たことによってさまざまな美白化粧品や美容法を試し、さらに肌が荒れてしまったというような話も珍しくない。シミは身体にはさほど影響がないかもしれないが、女性の心には大きな悪影響を及ぼすことも多いのだ。女性が身体も心も健康であるために、シミ対策研究の発展が期待されている。(編集担当:久保田雄城)