【今週の振り返り】ヨーロッパのリスクを消化し570円上昇した週

2016年12月10日 20:33

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イタリアのレンツィ首相は辞任したが、イベントは、通過すること自体が好材料。「もう済んだこと」にして引きずらず、日経平均は9日に19000円にタッチ。

 低金利政策の継続をマーケットは好感してヨーロッパ市場は続伸し、ドイツDAX、フランスCACの両指数は年初来高値を更新した。NYダウは65ドル高で4日続伸。NASDAQ、S&P500は5日続伸。ネット通販に侵食されるシアーズは5期連続の赤字決算だったが、新規失業保険申請件数は前週比1万人減で市場予測と同じ。原油先物価格は3日ぶりに反発して50ドル台を回復し、金先物は反落してリスクオン。アメリカの長期金利が反発して朝方の為替レートはドル高、ユーロ安、円安が進行しドル円が114円近辺、ユーロ円が121円近辺。大阪夜間取引終値は18820円。CME先物清算値は18865円。

 日経平均始値は74円高の18839円。高値は2時59分の19042円。安値は9時2分の18821円。終値は230円高の18996円。取引開始前に10~12月期の法人企業景気予測調査が発表され、大企業全産業の景況判断指数(BSI)は7~9月期の+1.9から+3.0に上昇し2期連続プラス。製造業は+2.9から+7.5へ大幅改善。非製造業は+1.4から+0.7へ悪化した。2017年1~3月期の見通しは+3.2で製造業+4.6、非製造業+2.4。2016年度の設備投資見通しは+2.5%で前回の+4.9%から減少。総括判断は据え置きだが製造業の景況感が好転し、来週発表の日銀短観に向け視界良好。11月のマネーストックはM3が+3.4%で、1年3ヵ月ぶりの高い伸び率だった。

 日経平均、TOPIX、JPX日経400など大阪取引所に上場する株式指数先物およびオプション取引の12月物の特別清算指数(SQ)を算出する「メジャーSQ」の日。18800円台に乗せてプラスで始まり、4分後に推定清算値18867.45円が発表される。9月SQ値より1855.68円、11月SQ値より1270.67円も高い。始値がSQ値を下回ったので「まぼろしのSQ」ではなかったが、上昇して9時台のうちに18900円にタッチする。しかしわずかなプラスで始まったTOPIXのほうは乱高下し、一時マイナスにもタッチ。日経平均も18800円台半ばまで下げたが、10時を回ると落ち着いて18900円台に戻った。10時30分に中国の11月の消費者物価指数(CPI)が発表されて+2.3%、工業生産者出荷価格指数(PPI)は+3.3%で、ともに非常に好調で「中国リスク」の心配なし。それに加えてドル円114円台半ばまで進んだ為替の円安に後押しされ、10時台後半は高値更新。大発会の1月4日の18951.12円を上回り、ザラ場ベースでも年初来高値を更新し「年間陽線ライン」を完全に超えた。19000円の大台もあと17円まで迫る。TOPIXも高値追い。11時台は18900円後半の水準で安定し、前引けは208円高だった。

 後場はドル円こそ114円台前半で動きが鈍ったが、日経平均は前引け水準で再開後、1時、ついに19000円の大台チャレンジに成功。1時台は何度も19000円台に乗せるが、なかなか突き抜けて上に出ることができない。TPP(環太平洋経済連携協定)とその関連法案が参議院本会議で可決、成立。日本は国内の手続を全て終えたが、アメリカのトランプ次期大統領はTPP脱退を明言している。2時台も19000円がレジスタンスラインになって押し戻される傾向が続いたが、終盤になってその防衛線を突破。昨年の大納会(12月30日)の終値19033.71円も一時超える。しかし最後の最後で売り込まれ19000円を割り込み、その3.63円下での大引け。4日続伸。TOPIXはザラ場ベースの年初来高値1544.73にも届かなかった。

 日経平均終値は230.90円高の18996.37円、TOPIX終値は+12.67の1525.36。売買高は31億株、売買代金は3兆9249億円。値上がり銘柄数は1250、値下がり銘柄数は606。プラスは31業種で、その上位は鉱業、石油・石炭、証券、海運、陸運、医薬品など。マイナスは機械、電気・ガスの2業種。上海総合指数は0.54%高だった。

 今週の星取は4勝1敗。前週末2日の終値18426.08円から570.29円上昇して今週の取引を終えた。週間騰落は5週連続の上昇。「トランプ・ラリー特急」は月曜日に注意して徐行したが、ヨーロッパのリスクを消化、通過すると再び加速し、停まる気配もなかった。ストップさせるのはトランプ次期大統領か? イエレンFRB議長か? それともロシアのプーチン大統領か?(編集担当:寺尾淳)