神奈川県警や京都府警などからなる合同捜査本部はスマホを遠隔操作するアプリ「Androidアナライザー」を作成した容疑で、横浜市のソフト開発会社社長他、役員2人、関係者1人を不正指令電磁的記録作成容疑で逮捕した。捜査本部によると、2014年12月に他人のスマホから個人情報や通信記録、位置情報などを収集できるAndroidアナライザーを作成し「盗難対策」や「LINEいじめ対策」「社員の勤怠チェック」と謳い、1200人以上に9800円から5万9800円で販売していた。
実際はパソコンによってスマホを遠隔操作し、電話帳といった個人情報や、LINEやメールの通信内容、GPS位置情報の取得、ボイスレコーダーの起動などができる。しかもインストールされてもスマホの持ち主には通知されない機能までついていた。相手がいつ、だれと、どのような内容のメッセージをやりとりしたかという情報が全て筒抜けになり、現在位置もリアルタイムで把握。ボイスレコーダーで盗聴行為もできるため、インターネット上では「不倫や浮気の調査に役立つ」と話題になっていた。
富山県警はAndroidアナライザーを知人女性のスマホにインストールしたとして、金沢大学助教の男を逮捕。女性のスマホに保存されていた画像や通話音声、位置情報をパソコンで取得していたと見られている。島根県警は知人男性のスマホにAndroidアナライザーをインストールしたとして、無職の女を逮捕。他にも京都府警も会社員の男を逮捕しており、相次ぐ利用者の摘発から、今回の胴元であるソフト会社関係者の逮捕に結びついた。
このソフトの恐ろしさは個人情報や通信記録が筒抜けになるのはもちろん、利用者がソフトをインストールされているのに気づいていない点にある。スマホの所有者が一瞬目を離したすきに無断でインストールされる。その後は自分の知らないところで情報が盗まれている。
アナログな対策ではあるが、まずは個人情報の塊であるスマホは常に肌身離さず持ち歩くことが肝心だ。例えば食事の場で一緒にいる相手が知人であっても油断せず、トイレなどで席を外す場合でもスマホを持っていくという対策が一番有効的だと思われる。ごく簡単なことだが、ついつい油断してテーブルの上にスマホを置きっぱなしにしてしまいがちだ。スマホが普及し、素人が簡単にこうした不正ソフトを扱える環境になったからこそ、対策も万全に行うよう心がける必要があるのではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)