11月23日から12月1日までドイツのルフトハンザ航空でパイロットが所属する労働組合「Vereinigung Cockpit」によるストライキが行われた。累計で4400便が欠航、52万5000人もの乗客に影響を与えた大規模なものになった。11月23日から27日には日本路線にも影響。羽田、中部、関西を結ぶ各路線が欠航となった。
同社はストを受けて今年2.4%、来年に入って2%の昇給率を提示したが、労働組合は3.66%を要求。合意には至らず、その後もストは続いた。29日は短距離線、30日や12月1日は長距離線も対象となり、再び羽田や中部便が欠航になるなど混乱が続いていた。ストライキ対象便を予約していた乗客に対しては無料で払い戻しや予約変更を受け付け、他社便への振替輸送など対応に追われた。
同社では今年4月にもストライキが発生し、850便以上が欠航した。10月1日には同社と同社の客室乗務員の労働組合UFOと賃金上昇や新しい確定拠出型年金への移行などによって2019年6月までのストライキ回避を合意したが、根本的な決着には至っていない。
今回ストライキは同社の売上にも大きく影響を与えた。ロイター通信は1日あたり約1000万から1500万ユーロ(約12億円から18億円)の影響が出て、16年の収益目標達成も危うい状況になっていると報道。15年には旅客数、座席利用率とも過去最高であっただけに、経営上大きな痛手を追ったといえる。運行停止によるダイヤの乱れは運賃収入という直接的な利益はもちろん、信頼性にも大きく関わるはずだ。
TwitterなどSNS上でも「予定していた飛行機が欠航になって帰れなくなった」という悲痛な叫びの他、「ルフトハンザ航空はやたらストライキが多い」「従業員として乗客に迷惑を掛けていることを自覚するべき」という意見も見られた。
現在ストライキは落ち着いた模様だが、まだ根本的な合意に至ったという情報は報道されていない。今後も当面運行状況には注意を払う必要がありそうだ。(編集担当:久保田雄城)