【今週の振り返り】ツキも実力のうち? 9連騰で404円上昇の週

2016年12月17日 20:19

0205_026

前場がマイナスで終わったら、後場に見参。終値をプラスにひっくり返して、去ってゆく。ぼくらのヒーロー、正義の味方? その名は「日銀のETF買い」。不敗の伝説。

 日経平均終値は20.18円高の19273.79円、TOPIX終値は+4.03の1542.72。売買高は23億株、売買代金は2兆8103億円。値上がり銘柄数は1115、値下がり銘柄数は745。プラスは21業種で、その上位は海運、輸送用機器、精密機器、小売、倉庫、ガラス・土石など。マイナスは12業種で、その下位は鉱業、石油・石炭、建設、その他製品、鉄鋼、情報・通信など。上海総合指数は0.72%安。

 16日の日経平均は大幅に9営業日続伸。イングランド銀行(BOE)の金融政策委員会が開かれ政策金利は0.25%で据え置き。量的緩和政策も現状維持。イタリアのモンテ・ディ・パスキ・デ・シエナ銀行の増資の年内実施が決まり、明るいニュース。ユーロ安もありヨーロッパ市場は揃って反発した。アメリカの消費者物価指数(CPI)は前月比+0.2%で市場予測と同じ。4ヵ月連続のプラス。7~9月の経常収支は市場予測を下回る1130億円の赤字。NY連銀製造業景気指数は市場予測を上回る9.0、フィラデルフィア連銀製造業景気指数は21.5で2年ぶりの高水準になり5ヵ月連続のプラス。NAHB住宅市場指数は70で市場予測を上回り、11年ぶりの高水準だった。製造業、住宅の経済指標が良かったので、原油先物価格が下落し一時50ドルを割ってもNYダウは59ドル高で前日のほぼ半値戻し。NASDAQもS&P500もプラスだった。原油先物終値は50ドル台、金先物は下落。為替のドル円は118円台までドル高円安が進行し朝方はドル円118円台前半、ユーロ円123円台前半。大阪夜間取引終値は19430円。CME先物清算値は19440円。

 日経平均始値は164円高の19438円。高値は取引開始直後9時0分の19439円。安値は9時44分の19360円。終値は127円高の19401円。メキシコが2ヵ月連続の利上げ。前日午後6時すぎに日ロ首脳会談が山口県長門市で始まり、この日も東京で第2ラウンドの会談。日経平均は3ケタ高で19400円台に乗せて始まりザラ場ベースの年初来高値を更新。TOPIXは1550超え。しかし序盤は上下に振れながら徐々に水準を下げ、19400円を割り込み9時台のうちに19300円台後半に下落する。為替は118円台を保っているので「利益確定売りの金曜日」に加え日ロ首脳会談の結果待ち、さらに来週の日銀会合待ちで手控えムード。10時台は+100円前後の19300円台後半でもみあい、19400円にはタッチするだけ。11時台になると19400円を少し上回る水準に乗せ、そのまま前引け。3ケタ高では日銀のETF買いは入らない。

 後場は19400円を割り込んで始まり、ときどき19400円にタッチしながら19300円台後半で推移する。為替は118円台をキープ。、任天堂<7974>は〃ポスト・ポケモンGO〃を狙う「スーパーマリオラン」の配信が開始されたが、材料出尽くし気味でマイナス。2時を過ぎると前場の11時台と同じように19400円を少し上回る水準に変わり、変動幅が小さくなりそのまま終了。日ロ首脳会談はその時点では共同声明が出ていなかった。9営業日続伸で日経平均の星取表の上ではトランプ・ラリー特急は今週、ノンストップ。7営業日連続の終値ベースの年初来高値更新。TOPIXは節目の1550を上回って終えた。

 新規IPOが1件。コンタクトレンズの製造・販売を行うメーカー、シンシア<7782>が東証マザーズに新規上場。公開価格2100円より7.14%安い1950円の初値がついて黒星。この業界、特に使い捨てタイプはメニコン<7780>やシード<7743>など専業の大手が強く、知名度で見劣りするシンシアは利益が伸びていない。今週の新規IPOは2勝1敗。白星の2件も初値は公開価格の10%増しにも届かず、調子は良くなかった。それは「ZMPロス」の症状なのか?

 日経平均終値は127.36円高の19401.15円、TOPIX終値は+7.95の1550.67。売買高は23億株、売買代金は2兆9082億円。値上がり銘柄数は1208、値下がり銘柄数は656。プラスは29業種で、その上位は金属製品、水産・農林、銀行、ガラス・土石、空運、精密機器など。マイナスはその他製品、保険、情報・通信、倉庫の4業種。上海総合指数は0.17%高だった。

 今週の星取は5戦全勝。前週末9日の終値18996.37円から404.78円上昇して今週の取引を終えた。とはいえ、TOPIXがマイナスになった日もあった。日銀買いに背中をドンと押されて劣勢を挽回できたり、土俵際のうっちゃりで逆転しプラスに軍配があがった薄氷の勝利もあって、内容は決してほめられない。ツキも実力のうち、か?(編集担当:寺尾淳)