日本共産党の志位和夫委員長は15、16両日にわたり安倍晋三総理とロシアのプーチン大統領との首脳会談について「日本国民が何よりも願ったのは日露領土問題の前進だったが、この問題はまったく進展がなかった」としたうえで「北方四島における『特別の制度のもとでの共同経済活動』について交渉を開始することで合意したが、重大な懸念がある」との談話を17日までに発表した。
談話では(1)ロシア側は「ロシアの主権の下で行われる」と表明している。「共同経済活動」の具体化の過程で日本の領土に対する主権が損なわれることが懸念されるとしたほか、(2)ロシアによるクリミア併合に対して、G7、EUなど国際社会が経済制裁を行うもとで、日本がロシアとの経済協力を進めることは、対ロシアの国際的な取り組みを崩すことになりかねない(3)安倍首相は「共同経済活動」が平和条約の締結にむけた一歩になると強調したが、その保障はまったくなく、逆に北方四島に対するロシア統治を政治的・経済的に後押しするだけのもの、などとしている。
そのうえで、志位委員長は「日露領土問題の根本は領土不拡大という第2次世界大戦の戦後処理の大原則を踏みにじって、米英ソ3国がヤルタ協定で千島列島の引き渡しを取り決め、それに拘束されて、サンフランシスコ条約で日本政府が『千島列島の放棄』を宣言したことにある。この不公正に正面からメスを入れ、千島列島の全面返還を内容とする平和条約締結をめざすべき」とし「北海道の一部である歯舞、色丹は中間的な友好条約によって速やかな返還を求めるべき」と政府に求めている。(編集担当:森高龍二)