前週22日のNYダウは23ドル安。NY時間のドル円は117円台前半、ユーロ円は122円台半ば。大阪先物夜間取引終値は19360円、CME先物清算値は19380円だった。
2001~2015年の15年間、大納会の5営業日前から大納会までの終値ベースの騰落は13勝2敗で、勝率は86.7%もある。これが「掉尾の一振」で、1勝3敗で26円高の前週のもたつきは、「跳ぶ前に屈する」の準備運動としては適切。おもちゃの模型飛行機のプロペラを回す動力のゴムは十分巻かれている。今週、どこまで高く飛べるだろうか?
「掉尾の一振で2万円チャレンジ」というなら、日経平均現物はあと527円。11月4~11日の週以降7週間の「トランプ・ラリー」の週間騰落で、プラス幅が527円を超えた週は2回あった。ただしこれは週末の終値での話で、26~29日の終値や、さらにザラ場の高値も含めると、2万円にタッチする可能性は決して捨てきれないところ。
とはいえ、テクニカル的にみればトレンド系指標も、「買われすぎ」が7指標中5指標を占めるオシレーター系指標も、2万円チャレンジの成功には否定的な数値。2万円は、トレンド系で言えばボリンジャーバンドの25日移動平均+2σの19759円を超えて+3σの20285円との中間に位置する。それは統計学の標準偏差の考え方によると、確率が4.56%と0.26%の中間になる。オシレーター系で言えばそれは、22日時点の25日移動平均乖離率+3.7%を大きく超えて+6.9%になるような位置で、かなりの買われすぎ。今週は為替の円安など好材料が重なっても、「2万円にタッチはしても一時的」とみるのが適当だろう。それでも大納会終値が19700円台だったら「掉尾の一振」としては上出来。
東京市場の2万円チャレンジを邪魔しそうなものは何か? 国内のドメスティック要因としては11月の経済指標があるが、株価を下げるようなバッドニュースの可能性は小さい。やはり怖いのは海外要因。一つはヨーロッパの銀行債務で、もしモンテ・デイ・パスキが自力再建をあきらめたら「ヨーロッパの銀行のドミノ倒し」が連想されて株安の連鎖になりかねない。イタリアのシエナが、海外旅行大好き女子に愛される「ワインがおいしい世界遺産の街角」から「世界の経済を混乱に陥れた銀行がある都市」に変わったら、哀しい。
忌まわしいテロも、いつ、どこで起きるかわからない。クリスマス明けで警備がゆるんだスキをつかれるかもしれない。そして、決して軽視してはならないのが中国リスクで、今後、投資資金が金利が上がるアメリカへ逆流しはじめることが予想されるが、中国政府や人民銀行の対応次第では中国発のショックを起こしかねない。経済だけでなく東アジアの地政学的リスクも気になる。
前週の日経平均は、海外投資家がクリスマス休暇モードでマイナスになる時間帯が長かったが、安値は4日間とも19300円台で止まっていた。個人投資家の押し目買いと〃正義の味方〃日銀のETF買いのおかげ。今週はクリスマスの振替休日がある関係で海外投資家が本格的に戻ってくるのが週半ばの28日頃になるので、26、27日はザラ場に19200円前後まで下がる局面があるとみる。そこから尻上がりの「2万円チャレンジ」があって30日の大納会というシナリオを想定する。
ということで、2016年最終週、今週の日経平均終値の予想変動レンジは19200~19750円とみる。
相場の格言に「申酉騒ぐ」というものがある。今年の干支の申年、来年の干支の酉年は、本当にボラティリティ(騰落率)が大きくなる年回りなのだろうか?
戦後、東証が再開した1949年以降の申年と酉年は今年と来年を含めて12回あるが、日経平均年足の大発会終値の「始値」に対する「高値-安値(終値ベース)」の比率を変動率とみると、1956年(申)は34.1%、1957年(酉)は22.5%、1968年(申)は46.2%、1969年(酉)は36.0%、1980年(申)は10.8%、1981年(酉)は14.8%、1992年(申)は39.8%、1993年(酉)は29.8%、2004年(申)は16.6%、2005年(酉)は47.9%、2016年(申/12月22日まで)は24.6%となっていた。
「今年の東京市場は荒れた」と感じている人は少なくないと思われるが、今年以上に変動が激しかった申酉の年は過去10回中6回もあり、過半数を占めていた。「申酉騒ぐ」の相場格言はけっこう当たっている。気になるのは申と酉と連続で今年以上に荒れたケースが2回(1968、1969年/1992、1993年)もあったこと。1回目は上昇局面で、高度経済成長のピークで大学紛争もあり政治も社会も激動した時期。2回目は下落局面で、バブル経済の大崩壊の時期。ともに、まさに時代の節目だった。はたして、来年2017年の酉年も2年続きで東京市場が荒れて、時代の節目がやってくるのだろうか?(編集担当:寺尾淳)