【今週の展望】ECB理事会が注目される「ヨーロッパの週」

2016年12月04日 20:19

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合衆国では「神聖なる単純」が勝利した。しかしヨーロッパは、決して単純ではない。統合を目指せるのか? 瓦解へ向かうのか?EUという方程式は、解くのが難しすぎる。

 今週、12月第2週(5~9日)は5日間の取引。9日は「メジャーSQ」の清算値算出日で、6日の火曜日、7日の水曜日は需給の問題で下げやすいSQ週の火曜、水曜の「鬼門」になる。今週は、4日のイタリアの国民投票、オーストリアの大統領選挙に続き8日にはECB理事会が開かれ、「ヨーロッパの週」と言える。

 世界の主要株式市場の休場日は、5日にタイが休場し、8日はヨーロッパのオーストリア、マルタの他、南米諸国で休場が多い。キリスト教行事の「聖母無原罪の御宿りの日」。「僕らはキリストよりも有名だ」と言ったジョン・レノンが撃たれて亡くなった日だから、ではない。なお、真珠湾攻撃は日本から見て日付変更線の向こうのハワイで起きたので、7日に記念式典が行われる。

 国内の経済指標、イベントは、8日のGDP改定値、オフィス空室率、景気ウォチャー調査や、現四半期の成長率を占える9日の法人企業景気予測調査が重要になる。

 5日には11月の消費動向調査(消費者態度指数)、6日には10月の毎月勤労統計調査、7日には10月の景気動向指数、8日には新基準に基づいた7~9月期のGDP改定値、10月の国際収支、11月の東京都心部オフィス空室率、企業倒産件数、景気ウォッチャー調査、9日には10~12月期の法人企業景気予測調査、11月のマネーストックが、それぞれ発表される。

 5日に黒田日銀総裁が「パリ・ユーロプラス第20回ファイナンシャル・フォーラム」で講演する。パリではなく東京で開催。9日にエルニーニョ監視速報が発表される。「こうのとり6号」の打ち上げ。国際宇宙ステーション(ISS)に向かう無人の補給機。9日は指数先物もオプション取引も全て清算値を算出・公表する年に4回の「メジャーSQ」算出日で、マーケットでは大きな区切り。日経平均採用225種にもブリヂストン<5108>、キリンHD<2503>、ヤマハ発動機<7272>など12月決算の企業は少なくない。この日から27日の権利付き最終売買日(年内決済期限)までの間、日経平均など株価指数の先物と現物の間に「配当落ち分」のズレが生じるので注意。

 主要銘柄の決算発表は端境期。5日はピジョンなど、8日は積水ハウスなど、9日はエイチ・アイ・エス、カナモト、エイチーム、丹青社などが発表する。

 12月は新規IPOラッシュの月。27日までに15件ある。19日、21日は3件ずつで、噂の大物ZMP<7316>は19日に東証マザーズに上場する。今週の新規IPOは2件。

 7日にイントラスト<7191>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、家賃債務保証、介護費用保証、医療費用保証など総合保証サービスを行う。公開価格は630円。ショートメッセージサービス(SMS)の一括送信業務にコールセンター機能やカード決済などをパッケージした「Doc-on事業」も行っている。

 8日にグッドコムアセット<3475>がジャスダックに新規上場する。東京が本社で、新築マンションの企画、開発、販売及び管理を行うマンションデベロッパー。公開価格は1950円。「GENOVIA(ジェノヴィア)」シリーズは東京23区内のワンルームが中心。主に不動産投資用に分譲している。

 なお、6日に東証マザーズに上場する窪田製薬HD<4596>は、東証マザーズ外国株式部に上場していた創薬ベンチャーのアキュセラ・インク<4589>(すでに上場廃止)が、三角合併方式で組織を改編し日本企業として再上場するもので、公募も売出しもなく新規IPOとはみなされない。

 海外の経済指標、イベントは、最大の注目経済指標は5日のアメリカのISM非製造業景況指数、最大の注目イベントは8日のECB理事会。同じ8日の中国の貿易収支も重要。