みずほ銀行とソフトバンクは、AIを活用して信用力の審査を行う個人向け融資サービスを2017年前半から開始する。同サービスでは、顧客の学歴や職歴、入出金履歴など、本人提供の学業・職業・行動データをAIにより分析して信用力をスコアリング。顧客ごとに貸出金利や上限額を決めるなど柔軟な融資を行う。特徴的なのは、AIが将来キャッシュフローを生み出す力を予測するため、従来の与信審査では貸し出せなかった若い層にも融資が可能となること。ソフトバンクが出資する米ベンチャー企業の技術を用いて、新しい審査モデルを構築するとのこと。
申し込みから完了までをスマートフォンで完結できて、審査や融資はシステム上で行うことから、店舗を置く必要がなく、人員もほとんど要さない。また、金融規制が適応されないことから規制対応コストの削減も見込める。経費が抑えられることにより低い融資金利が実現できて、競争力は格段に高まる。また、迅速で柔軟な融資が可能となり、その便利さ手軽さから、FinTechの恩恵を個人が直接受けられる最初の機会を提供する可能性があると考えられる。
中小企業向けのコンピュータによるスコアリング融資システムは、以前にも開発され大手銀行が相次いで導入した経緯があるが、決算書を融資に有利な形に整える企業が相次ぎ事業性が悪化、事業モデルや技術的な課題が残った。近年ではFinTechの発展により、虚偽の情報を入力してもAIがこれを感知するシステムが実現している。従来の大手金融機関のような大きなシステムを持たなくても貸倒リスクを抑えた融資が可能となることから、米国ではすでに個人間融資(P2Pレンディング)に乗り出すベンチャー企業が存在感を強めている。日本では14年ごろからFinTechに取り組む企業が出始め、ようやくサービスが顕在化し始めたところだ。こうした既存のシステムを根本から刷新するような技術は、普及し始めるとそのインパクトも大きく、今後の同様の技術を活用した融資の広がりは加速すると考えられる。(編集担当:久保田雄城)