デジタルを活用したCRMでの3つの注目すべきテクノロジーとは

2016年12月28日 08:18

顧客自らがさまざまなデジタル・チャネルを自在に操るようになった現在、多くの企業では、自社が持つ価値をデジタル・チャネルを通じてどのように顧客へ提供するかが課題となっている。そのため、デジタルを活用したCRMおよびカスタマー・エクスペリエンス管理がビジネス上の重要性を増しており、顧客関連のテクノロジがその成果を大きく左右するようになっているといえる。

 今回、ガートナー ジャパンは、「日本におけるCRMのハイプ・サイクル:2016年」を発表した。この中で特に注目すべきテクノロジ/アプリケーションである「パーソナライゼーション・エンジン」「カスタマー・ジャーニー・アナリティクス」「顧客エンゲージメント・ハブ」について取り上げる。

 まず、パーソナライゼーション・エンジンとは、既知の情報に基づいて個人にとって最適なエクスペリエンスを特定するテクノロジ・ソリューションであり、例えばオンライン・プレゼンテーション・レイヤを変更したり、自動応答を起動したり、営業担当者やサービス担当者が行動を起こせるよう、分析結果を引き渡したりする役割を果たす。初期段階においてはデジタル・コマースの用途に特化していたが、今や初歩的な顧客セグメンテーションの域を超え、個々の顧客の好みを特定し対応することができるようになったため、コマース外のコンテンツや機能をも対象とするようになっているという。インターネットの登場以来、パーソナライゼーションはもはや必須要件となっているとしている。

 カスタマー・ジャーニー・アナリティクスとは、企業とのインタラクションにおいて見込み顧客を含む顧客が、使用可能なチャネル/デバイスをどのように利用しているか、その組み合わせを経時的に追跡し、統合し、分析するプロセスのこと。コンタクトセンターのような人的なインタラクション、Webサイトやモバイル端末のように十分に自動化されているもの、ライブ・チャットや共同ブラウジングのように顧客へのサポートを提供するもの、独立した小売店舗のように物理的な拠点で運営されているもの、ディスプレイ広告のような限定的な双方向インタラクションなど、すべての利用可能なチャネルおよびデバイスを対象とする。カスタマー・ジャーニー・アナリティクスの認知度はいっそう高まっており、複数の業界 (特に対消費者 [B2C] 企業) において複数の部門 (IT、カスタマー・エクスペリエンス、マーケティング、営業など) の担当者が、戦略やテクノロジについてますます注目するようになっている。

 顧客エンゲージメント・ハブ (CEH) とは、複数の顧客接点におけるシステムを結び付けることで顧客エンゲージメントを最適化するテクノロジおよびプロセスのコンセプト。これは先取的および事後対応的なコミュニケーションを含み、すべてのコンタクト・チャネルにわたり、コンテキストに即してパーソナライズされた顧客エンゲージメントの実現を目指すものになる。そのため、マーケティング、営業、顧客サービスのプロセスを同期させるなど、社内のすべての関連部門を対象とし、互いの連携を支援することにもつながる。売り上げ増加の手段として、また消費者の購買および関連する活動に影響を及ぼす手段として、顧客維持に努めるさまざまな業種の企業が、サイロ化された顧客エンゲージメントおよび顧客ケアにどのように取り組むべきかという問題に対処する上でCEHが必要になると考えられるとしている。(編集担当:慶尾六郎)