ウェアラブル デバイスはBtoBやヘルスケアなど用途をはっきりさせることで需要は広がる

2017年01月04日 12:12

 Apple Watch、Google Glassといった注目されたウェアラブル デバイスが期待ほどに一般ユーザーに普及していない理由としては、使用を促すキラーアプリケーションが見つかっていないことにある。このため高価なガジエットの域を出ることができないでいる。

 この裏返しで、用途が明確なB to B分野、さらにヘルスケア、ウェルネスといった分野では、2017年に普及が加速することが見込まれる。また、VR、AR(Augmented Reality:拡張現実)によるエンターテインメント分野での普及も期待されている。

 メガネタイプのHMDでは、工場での生産ラインでの作業、設備機器などの整備、保守といった産業や医療などの分野で、必要情報をディスプレイに表示、それを参考にしながら作業を行うことで、効率の向上を図ることができる。また、設計、開発分野への応用も期待できる。このようにB to B分野での2017年以降、普及が加速していくものと予想される。B to B分野では撮影機能に制限を加えることで、プライバシー侵害の問題はクリアできるため、普及へのハードルとしては低くなる。

 エンタテイメント分野では、AR機能と組み合わせることで、ポケモンGoやIngressといったゲームのプレイ経験の質の飛躍的な向上も期待できる。 

 ヘルスケア、ウェルネスの分野では、心拍の計測だけでなく、伸縮性の高い電極材料をウェアに組み込むことで心電信号を図り、デバイスに表示できるようなシステムの登場も見込まれている。このように身体情報を把握するために利用するデバイスがウェアラブルデバイスの牽引役となることも期待されている。

 さらコンパクトなセンサを装着可能にし、身体的な動作情報の把握、健康管理・モニタリングなどへの応用を進めている。野球やアメリカンフットボールなどの選手に装着、プレー時における体の各部の動きをモニタリング、データ収集を行うことで、的確な指示、指導が可能となり、運動機能、質の向上を図ることができるという。

 さらには把握した動作データをネットワーク、クラウドと連携させることで装着者の動作状況を把握、遠隔見守りといった高齢者のケアに応用していこうという取り組みも進められていく。

 また、眼鏡型デバイスについても、外部情報を表示されるデバイスとしての使用だけでなく、眼鏡に視点センサや多軸の動作センサを組み込むことで、視線の揺らぎ、頭の揺れにより身体全体の動作状況を把握することができるようなデバイスも開発されている。このデバイスを装着することにより、居眠りをしてしまったり、集中力が低下する場合の視線の動き、体の動きに関するデータを蓄積することが可能となる。そのデータを利用することで、自動車運転時の居眠り防止、作業、学習時の集中力向上への対策を、図ることができるようになる。

 また、動作機能の把握によるデータ蓄積とそれにもとづく疾病の予測と予防などへの応用も期待されている。たとえば、パーキンソン病など特定の疾病に特徴的な動作の特長を把握することで、疾病の早期発見が可能となる。(編集担当:慶尾六郎)