1月13日に開幕した「東京オートサロン2017」のトヨタ GAZOOレーシングのブースで日本初公開となった「ヤリス(ヴィッツ)WRカー」、搭載エンジンは最高出力380ps以上、最大トルク425Nm以上で駆動方式は4WD
トヨタ GAZOOレーシングは、1月19日に開幕する「ラリーモンテカルロ」で、いよいよ18年ぶりのFIA世界ラリー選手権(WRC)復帰の日を迎える。
「モータースポーツを通じて、もっといいクルマづくりを進めていく」という理念のもと、復帰初年度を数多くの学びを得るためのシーズンと位置付け、初戦に臨む。
4度のWRC王者であり、4度のモンテカルロ勝利経験を持つトミ・マキネンのチーム代表のもと、世界屈指のラリードライバーであるヤリ-マティ・ラトバラ(10号車)と経験豊富なユホ・ハンニネン(11号車)がヤリスWRCのステアリングを握り、競合との厳しいラリーチャレンジのなか、クルマを鍛え開発を積み重ねる。
ラリー競技の発祥ともいわれる「ラリーモンテカルロ」は、今年で通算85回目。2017年シーズンは、新世代WRカーによる新たな時代の幕開けともなる。
ラリーモンテカルロの総ステージ走行距離は約380km。最もトリッキーなラリーのひとつと言える。天候と路面コンディションが変わりやすいため、タイヤ選択やクルマのセットアップが難しく、アイスノートクルー(ラリー直前の路面状況を報告する専門クルー)の情報が非常に重要になる。
1月19日18時11分、モナコのカジノ・モンテカルロ前の広場からスタートし、2つのナイトステージがアルプ・ド・オート地方で行われる。20日には、イベント最長の約160kmのステージが待ち構え、21日にはギャップからモナコへと移動しながら5つの山岳ステージを競う。競技は1月22日まで続き、15時にモナコの王宮前で表彰式が行なわれる予定だ。
トヨタの社長でチーム総代表の豊田章男氏は、「トヨタがWRCに戻る日を迎える。先月から仲間に加わってくれたヤリ-マティ・ラトバラとは、2014年のラリーフィンランドで話す機会があり、彼が初めて乗ったラリーカーであるカローラGTや初めて実戦経験したWRカーであるカローラWRCの写真を見せながら、トヨタへの想いを語ってくれた。当時はトヨタがWRCに再び参戦できるとも、彼が一緒に戦う仲間になるとも思っておらず、不思議な縁を感じる。──中略── 簡単に勝てる世界ではないが、多くの皆様に応援いただければ、それが力となってチームに、クルマに、ドライバーに必ずや届くと思う。皆様の応援を、改めてお願いしたい」と抱負を語った。
トミ・マキネンチーム代表も「ラリーモンテカルロは、一瞬で状況が変わりうるラリーなので、リラックスし、柔軟な姿勢で挑むことが重要だと考えている。クルマのパフォーマンスに関しては、我々がどのくらいの位置にいるかは分からないし、他のラリーと一線を画すラリーモンテカルロで、その答えが分かるとは思っていない」と慎重なコメントを残した。
2台のヤリスWRカーがトップとの距離を少しでも縮めて完走する事ができるか。それには、今後のクルマの開発改良を重ねていく過程が非常に重要だ。トヨタには「改善に終わりはない」という言葉があるように、参戦を通じ、もっといいクルマづくりを追及し続けることだろう。
ヤリスWRカーのボディ寸法は全長×全幅4085×1875mm、ホイールベース2511mm。車重1190kg。全高はラリーフィールドに合わせて調整できる。エンジンは1600cc直列4気筒、最高出力380ps以上、最大トルク425Nm以上。駆動方式は4WDで、6速油圧式ミッションを採用する。サスペンションは前後ストラット式となる。(編集担当:吉田恒)