2000年4月の民事再生法の施行から16年を経過した。民事再生法は和議法に代わる再生手続きで、債務超過の可能性があれば申し立てられ、経営陣が引き続き経営を担える弾力的な手続きでもある。
東京商工リサーチでは、2000年4月1日から2016年3月31日までに負債1,000万円以上を抱え民事再生法を申請した9,406件(法人、個人企業含む)のうち、進捗が確認できた法人7,341社を対象に経過日数や事業継続の有無を追跡調査した。民事再生法の「申請から開始決定」の期間は、2000年度(4-3月)は平均40.9日だったが、2015年度は同13.2日と27.7日短縮している。「開始決定から認可決定」までの期間も2000年度の同231.1日が、2015年度は同196.4日へ34.7日短縮し、手続きの迅速化が図られている。
しかし、民事再生法の適用を申請した7,341社のうち、70.9%(5,205社)は申請後に吸収合併や破産・特別清算などで消滅し、生存企業は29.1%(2,136社)に過ぎない厳しい現実も浮き彫りになったとしている。消滅した5,205社のうち、約6割(57.4%)の2,989社は申請から3年を経過して裁判所の関与から離れる手続「終結」の後に消滅している。
2000年度から2015年度までの総倒産件数(法的倒産と私的倒産の合計、個人企業含む)は、22万3,596件だった。このうち、民事再生法は9,406件で総倒産件数に占める割合は4.2%だった。年度別で構成比が最も高かったのは2008年度の5.2%(854件)、最も低かったのは2015年度の2.7%(242件)。民事再生法の申請件数はリーマン・ショック後の2009年度から7年連続で減少し、2015年度は242件と同法施行後で最少件数を記録した。
民事再生法を申請した企業(個人企業除く)のうち、進捗経過を確認できた7,341社の「手続申請→再生手続開始」までの期間は平均21.8日だった。2000年度の40.9日から、2015年度は13.2日に27.7日短縮している。また、「開始決定→認可決定」までの平均期間は234.1日で、2000年度の231.1日から2015年度は196.4日と34.7日短縮している。
これは民事再生法の申請前にスポンサーを選定する「プレパッケージ型民事再生」の増加も経過日数の短縮につながっているとみられる。民事再生手続は再生債務者の再建を迅速に図ることを目的にしており、関係者や裁判所の手続短縮化への努力も効果を見せているという。
民事再生法の適用を申請し、手続進捗が確認できた7,341社(個人企業を除く)のうち、「民事再生開始決定」が下りた企業の割合(開始率=開始社数÷手続社数)は96.1%(7,053社)だった。また、「認可決定」が下りた企業の割合(認可率=認可社数÷手続社数)は80.2%(5,890社)で、大半は「認可決定」までこぎつける事が可能だ。
一方、手続の途中で「廃止」(破産に移行分を含む)となった企業(廃止率=廃止社数÷手続社数)は23.3%(1,714社)で、約4分の1の企業が申立後に廃止となっている。民事再生法の間口は広いが、再生債務を弁済しながら事業を継続する企業は決済条件や資金調達、営業面で厳しい制約があり、再建は容易でないことを示している。
7,341社のうち、2016年8月末時点で事業継続を確認できない企業(消滅企業)は5,205社あり、全体の7割(70.9%)を占めた。一方、事業を継続している企業(生存企業)は2,136社で、申請企業の約3割(29.1%)にとどまる。(編集担当:慶尾六郎)