厚生労働省が先月27日に発表した2016年11月度の有効求人倍率は1.41倍で、前月比0.01%上昇、3ヶ月連続で改善しており、25年4ヶ月ぶりの高水準となった。一方で総務省が発表した完全失業率は3.1%で、前月と比較すると悪化は悪化しているものの、失業率も21年ぶりの低水準で総務省は「雇用情勢は改善傾向で推移している」という見解を示している。
バブル期以降国内の景気が低迷し、90年代から2000年前半までは氷河期とも呼ばれる程求人倍率が低かった。その後も徐々に求人倍率は改善されてはきたものの、雇用情勢が厳しい状況が続いたが、ようやく光が見えてきたと言える。新卒者や転職希望者にとっては今がチャンスだ。
特に卸売・小売、飲食、サービス業、建設業などで増加が大きくなっている。建設業はフルタイムでの増加がほとんどで、東京オリンピックやリニア新幹線開業に伴う再開発需要が影響しているのではないかと考えられる。一方で卸売・小売や飲食、サービス業ではパートタイムの求人が伸びているという。特にサービス業では福祉分野において大幅に有効求人倍率が上昇。3.40倍となっており、介護現場の人手不足が明らかになった。厚労省は団塊世代が全て75歳以上になる25年度には介護職が38万人不足すると試算しており、懸念材料となっている。
介護大手のニチイ学館<9792>は全国の中学校や高校で介護を知ってもらうためのイベントを開催しており、若者の介護への理解を促進。他にも全国各地で福祉施設が介護職を知ってもらうためのイベントを開催して人材獲得に躍起になっている。
しかし需要が伸び続けているにも関わらず、介護職を志す人が少ないのが現状。不規則な勤務体系やハードな勤務内容、そして給料が少ないというイメージがあり、介護職になりたがらない若者も多いという。介護職に就いても1日で辞めるという話も聞く。
有効求人倍率は上昇しているものの、就職した後に長時間労働や残業代未払いなどの問題に遭うケースも少なくない。雇用の促進とともに待遇や労働環境を如何に改善していくかが今後の課題だと言える。(編集担当:久保田雄城)