原発再稼働への動きが止まらない。東京電力福島第一原発事故時の脱原発、原発ゼロ社会の必要性は電力業界と経済優先政策の中で押しつぶされそうになっている。しかも、政府は「原発再稼働には新規制基準での原子力規制委員会の判断を尊重し、再稼働を認める」とし、原子力規制委員会は「基準を満たしているとの判断をしているのであって、安全を担保するものではない」と、原発再稼働に、政府も規制委もともに無責任状態のまま、今日に至っている。
こうした中で、原子力規制委員会は18日、九州電力玄海原発3号機、4号機(佐賀県)について耐震補強などをすれば再稼働基準を満たすなどとした。運転後の課題が何も解決されないままの、まさに、現行基準に照らしただけの無責任極まる判断だ。
使用済み核燃料プールは再稼働から4、5年で満杯になるという。にもかかわらず、対応は決まっていない。プール内の核燃料間隔を詰め延命する話があるようだが、間隔を詰める影響はないのか。
また原発30キロ圏内にある諸島の住民2万人は玄海原発で重大事故が発生した場合、船での避難を余儀なくされるが、台風など荒天により船で避難できない場合、どうするのか。
そして、その前に、『地元同意』について『原発が立地する自治体』のみに求められるという現実離れした形式的手続き。実態にそぐわない問題が解決されていない。
原発は「安全性を最優先に」(政府)というのであれば、重大事故が起きた場合、直接被害を受ける『原発から30キロ圏内すべての自治体の同意を再稼働の条件とすること』が当然。
佐賀県の山口祥義知事は県内すべての自治体首長から意見を聴いたうえで判断するということのようだが、「地元同意」については国が再稼働の条件として法的に担保することが必要だ。福島第一原発事故の現況をみれば、原発から30キロ圏内の住民はもちろん、すべての国民に大きな損害を与えることは証明済みだ。
原発を重要なベースロード電源と生き残りの保障をした政府だが、電源確保については、脱原発を目指していくべき。そして、それが実現するまでの原発再稼働については、リスクの大きさから、30キロ圏内すべての自治体の同意を「再稼働の条件にする」ことは最低限求められることといえよう。今国会で議論することを期待したい。(編集担当:森高龍二)