経産省、ドローンの完全自立制御で長距離配送に成功 物流システムの評価手法確立へ

2017年01月24日 08:33

画.経産省、ドローンの完全自立制御で長距離配送に成功 物流システムの評価手法確立へ

経済産業省とNEDO、福島県南相馬市の自律制御システム研究所は、福島県南相馬市の海岸において、世界初となる完全自律制御による回転翼ドローンでの長距離荷物配送の飛行実証試験を実施した。飛行実証試験では、南相馬市の2拠点、村上城跡から北泉海水浴場までの12Kmを、楽天のドローンによる配送サービス「そら楽」の専用機「天空」のベースにもなる「ACSL-PF1」が自立飛行。

 経済産業省とNEDO、福島県南相馬市の自律制御システム研究所は、福島県南相馬市の海岸において、世界初となる完全自律制御による回転翼ドローンでの長距離荷物配送の飛行実証試験を実施した。飛行実証試験では、南相馬市の2拠点、村上城跡から北泉海水浴場までの12Kmを、楽天のドローンによる配送サービス「そら楽」の専用機「天空」のベースにもなる「ACSL-PF1」が自立飛行。現地のサーファーに温かい飲物を届けるというもの。

 同飛行実証試験は、ドローンを活用した物流システムの性能評価手法の開発を目的としたNEDOプロジェクトの一環で、ドローン等の性能・安全性の評価手法を用途別に設定することが目標とされる。また、今回活用された「福島浜通りロボット実証区域」制度では、福島県や南相馬市がロボットやドローンの実証場所を提供。南相馬市及び浪江町に整備予定のロボット・ドローンの実証拠点「ロボットテストフィールド」とも連携して、福島県にロボット産業を集積させる狙いがある。

 ドローンによる物流システムは、国家戦略特区を中心とした実証実験など、実現に向けた取り組みが加速している分野だ。昨年は千葉市、福岡市、愛媛県今治市などの国家戦略特区や、徳島県選定ドローン特区の那賀町で、実証実験が相次いで実施された。政府は2019年までにドローンによる荷物配送を実現する目標を掲げており、特区での実証実験については、技術開発の遅れの要因のひとつとされる、航空法に基づく許可などを必要とせず原則自由に行う方向で検討が進められている。

 日本は国土の7割が山林で、物流網の行き届かない有人の離島も多いことからドローン配送によるコスト削減や、住民の利便性向上といったメリットが大きい。昨年11月には米国でのセブンイレブンによる近隣住民へのドローン配送が(連邦航空局の規制があるため有視界操縦での飛行)、12月には英国での近距離ドローン宅配が(Amazon Fire TVとポップコーン1袋を配達済み)スタートしており、日本でのドローン配送早期実用化に向けた施策策定や評価法確立が急がれる。(編集担当:久保田雄城)