産学官連携によるアクティブ・ラーニングを支援する記述・発話分析の実証研究とは

2017年01月28日 20:05

 現在、21世紀型スキルと呼ばれる主体的に問いを立て、解決し、他者と協働しながら新たな価値を生み出す能力が、世界的に重要視されている。2016年12月に提出された次期学習指導要領答申では主体的・対話的で深い学びを育むため、アクティブ・ラーニングの推進とICTの効果的活用が示されている。

 また、答申ではアクティブ・ラーニングの視点に基づいた不断の授業改善が求められている。そのため、それに応じた多様な方法に基づいた学習評価や授業評価が欠かせなくなっている。アクティブ・ラーニングでは多数のグループに分かれて話し合うため、児童生徒全員の学びのプロセスと学習効果を一人の教師で記録・分析するのは困難で、アクティブ・ラーニングの授業改善や個に応じた指導の難しさとなっている。

 国立大学法人静岡大学、今治市、京セラドキュメントソリューションズ、KDDI総合研究所は、静岡大学の益川弘如准教授の指導のもと、21世紀型スキル教育支援の一環として、ICTを活用したアクティブ・ラーニングの授業において、記述や発話といった学習記録データの収集・分析を行い、学習記録データに基づいた学習評価や授業評価につながるソリューションの有用性を検証するための実証研究を今治市の小中学校(3校)で開始する。

 今回の実証研究では、アクティブ・ラーニングの学習活動の中でも、特に小グループによる対話活動におけるデジタルワークシート記述と発話を対象とする。授業でおこなわれるグループワークの中で、児童生徒達の記述と発話を学習記録データとして蓄積してそれらの変化や推移を自動的に分析し、話し合いのプロセスを見える化することで、教師に対して指導と評価の一体化を促す。

 また、ジグソー授業など、授業中にグループ編成が変わる授業にも柔軟に対応できるアプリケーションを開発。具体的には、各生徒の発話内容を録音してその発話データを収集し、一人ひとりの学習内容の理解状態を推定する。また、授業の開始時点から終了時までの間にどれだけ理解が深まったのかを測定するため、ワークシートの記述の変容から学習成果を測定する。これら発話データと記述データを組み合わせて分析することで、総合的な分析を可能とし、多数のグループの学習効果の評価や、授業改善への効果を検証する。(編集担当:慶尾六郎)