欧州のIndustrie4.0や米国のIndustrial Internetなど、ICTを活用した生産システムの構築が進んでいる。これを受け、富士経済は、デジタル化やIoT対応、クラウドによるネットワーク化が求められるメカトロニクスパーツ(構成部品、機械・装置)の市場を調査した。なお、各市場は国内市場および日系メーカーの海外販売の合計とした。
それによると、メカトロニクスパーツ市場は2015年は1兆6,064億円となった。2016年は1兆5,597億円と減少する見込みだが、2019年には1兆7,403億円に拡大すると予測している。2012年以降、2014年まで拡大を続けたが、市場をけん引してきたスマートフォン関連の設備投資が一巡したことや、欧州、中国などの景気停滞により、2015年は市場の伸びが鈍化した。2016年は引き続き海外経済が不安定な状況が続いたため、一時縮小が見込まれる。2017年以降は、HV、EV化の進展や、自動運転の普及による車載部品が変化する自動車関連や、IoT化による需要拡大などでエレクトロニクス関連がけん引し、市場は堅調に拡大するとみられるとしている。
プログラマブルコントローラー(PLC)【コントローラー領域】。PLCはプログラムで定められた順序や条件などに従って設備や機械の動きを制御する装置であり、主に工場などの自動機械の制御に使われている。2015年は1,777億円、2016年見込は1,770億円、2019年予測1,921億円となった。
2015年、最大の販売地域である中国の景気停滞や設備投資需要の減少により、市場の伸びが鈍化した。2016年は自動車関連やスマートフォン関連など自動化ニーズを持つ産業向けで、最終製品の販売不振が影響し設備投資が低調になるとみられ、市場は微減が見込まれる。2017年以降は市場は堅調に拡大するとみられるとしている。
産業用RFIDシステム 【センサー&ID領域】。産業用RFIDシステムは固体管理の基となるタグ、ID情報の読み取り、書き込みを行うアンテナ(リーダ/ライタ部)、PLCなどの上位機器の指示に従い、タグへのID読み書きを制御するコントローラーユニットを統合したシステムを対象とする。2015年は79億円、2016年見込は81億円、2019年予測は93億円となった。
Industrie4.0やIndustrial Internetなどのコンセプトをもとに、国内でも製造工程のIoT化や生産情報の管理に対する意識が向上しており、生産工程における個体認証や、製品のトレーサビリティを意識した生産ラインの改善が進んでいる。2015年は、国内市場は自動車関連を中心に導入が進み、市場は拡大した。今後も産業用RFIDシステムは生産工程の改善など製造業に欠かせないシステムとして市場は堅調に拡大するとみられるとしている。
固定式コードリーダ 【センサー&ID領域】。製造現場の工程間物流や生産設備向けのほか、物流拠点内での仕分けシステムに搭載される固定式のコードリーダを対象とする。2015年は97億円、2016年見込は105億円、2019年予測は120億円となった。自動車関連や、電機・電子、機械・精密、食品・薬品・化学分野などで採用が増加し、市場が拡大している。国内外とも市場の拡大が期待され、今後は特に海外市場に向けた日系メーカーの販売が増加するとみられる。最も市場の拡大が期待される自動車関連分野向けは、中国や東南アジアなどでの自動車生産の拡大と共に、コードリーダも需要が増加するとみられる。国内では高価格品は自動車関連を中心に、低価格品は食品・薬品関連を中心に採用が増加するとみられる。(編集担当:慶尾六郎)