【今週の振り返り】春の2万ドル突破まつり実施中で329円上昇の週

2017年01月28日 20:11

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日米とも「業績相場」になるはずが、毎日、小出しにされる大統領令で「トランプ・コンシャス」な状況継続。それでも「トランプ慣れ」かダウは2万ドル

 S&Pが格下げした渦中の東芝<6502>は「投機的」であろうと主要取引先の3銀行は融資の継続を表明したが2.08%安。問題の原子力事業の損失総額は2月14日、4~12月期決算と一緒に発表する予定。他の銘柄も巻き込んで東京株式市場の「聖バレンタイン・デーの虐殺」になってしまうのか?

 日経平均終値は269.51円高の19057.50円、TOPIX終値は+15.25の1521.58。売買高は19億株、売買代金は2兆2344億円。値上がり銘柄数は1529、値下がり銘柄数は385。プラスは30業種で、上位は鉄鋼、機械、非鉄金属、ガラス・土石、輸送用機器、化学工業など。マイナスはその他金融、食料品、建設の3業種。上海総合指数は0.22%高だった。

 26日の日経平均は大幅続伸。1月のドイツIFO景況感指数は109.8で12月の111から低下。市場予測の111.3を大きく下回った。しかしフランクフルトDAX指数は大幅高。英国、フランスも上昇した。スペインの問題の銀行サンタンデールが好決算を発表したというのがその理由。NYダウは取引開始時いきなり2万ドルの大台に乗せて始まり、20068ドルで終了して155ドル高。1月6日にはザラ場にあと37セントまで迫っていたが、終値ベースでは昨年11月の19000ドル突破から42営業日目で達成する早いペース。NYダウの算出開始は121年前、19世紀の1896年にさかのぼり、1万ドル突破は1999年3月で、約18年で2倍。歴史的な節目なのでNY証券取引所では記念品の野球帽が配られ、トランプ大統領もツイッターで祝福した。

 原油先物価格は在庫増を嫌気し終値52ドル台まで下落。金先物価格はリスクオンして1200ドル割れ。ボーイングの決算は大幅増益でEPSは市場予測を上回ったが、2017年の通期見通しは市場予測を下回った。トランプ大統領は今週、大統領令を毎日「小出し」しており、この日は選挙公約の「メキシコとの国境に壁を建設」に署名した。メキシコ政府が支払うまで立て替え払いするための予算の裏付けは、まだない。アメリカの長期金利は上昇したが為替レートはドル安円高で、朝方はドル円が113円台前半、ユーロ円が121円台後半。大阪夜間取引終値は19230円。CME先物終値は19210円だった。

 日経平均始値は203円高の19260円。高値は2時51分の19405円。安値は9時22分の19232円。終値は344円高の19402円。政府は2020年に基礎的財政収支を黒字化させる目標を断念。予定通りに消費増税を行っても8.3兆円の赤字になる見通し。この日から通常国会で第3次補正予算案の審議入り。取引時間前に日銀から12月の企業向けサービス価格指数が発表され、103.4で前月比+0.1%、前年同月比+0.4%。11月よりも上昇ペースが鈍っていた。

 日経平均は一気に200円を超える上昇をみせ19200円台後半で始まる。TOPIXの上昇率はやや控えめ。為替の円高が進行してドル円が113円を割りかけても、日経平均は9時台のうちに19300円台に乗せる。「NYダウの2万ドルに続いて日経平均も2万円を目指せ」という根拠なきムードに流されたマーケット心理で、ちょっと危うい。10時台は19300円を軸に小動きが延々と続く。ドル円は113円台前半。10時30分に2016年の中国の工業企業利益が発表され、前年同期比+1.7%。春節(旧正月)休暇直前の香港も上海も序盤はプラス。11時台になるとドル円レートが円安に振れ、日経平均も上に動いて高値を更新し、一時19350円超え。前引けは275円の大幅高で日銀のETF買いの可能性消滅。

 昼休みもドル円は113円台前半で特に円安が進んではいなかったが、後場は前引けより少し高く再開し、再び19350円を超え高値追い。プラス幅は300円を超え、1時台は19400円にあと5円まで迫る。2時台は、為替が円高方向に振れると19300円台半ばに落ち着き、円安方向に振れると再び高値を更新しながら19400円に接近して、終盤についにタッチ。大引けでも19400円台に乗せ高値圏で終えた。日経平均先物日中取引は19460円で高値引け。ドル円が終始113円台前半の前日比円高水準でくすぶっても、前場も後場も危なげなく高値追いできたのは、ダウ2万ドル到達で「気分はトランプ・ラリー・アゲイン」になったせいか?

 日経平均終値は344.89円高の19402.39円、TOPIX終値は+23.43の1545.01。売買高は23億株、売買代金は2兆7423億円で商い復活。値上がり銘柄数は1599、値下がり銘柄数は309。プラスは32業種で、上位は証券、保険、銀行の金融関連セクター「三役揃い踏み」に海運、化学工業、ガラス・土石など。マイナスは鉱業1業種のみ。春節(旧正月)の大型連休前の最後の取引の上海総合指数は0.31%高だった。

 27日の日経平均は3日続伸。英国の10~12月期の実質GDP速報値は前期比+0.6%で市場予測の+0.5%より上。2016年通年は+2.0%で、2015年の+2.2%から減速したものの、BOEの低金利政策が功を奏してドイツをしのぎヨーロッパ主要国トップの成長率。2017年はポンド安のため減速するとみられている。ブリュッセルのユーロ圏財務相会合は支援の見返りのギリシャの改革案見直しを了承しなかった。ヨーロッパ市場はドイツは高いが英仏は小幅安で終了。

 前日2万ドルを突破したNYダウは金融セクターを中心に上昇の勢い衰えず、終値は32ドル高の20100ドルで史上最高値更新。しかしNASDAQ、S&P500は小幅反落した。原油先物価格は上昇して53ドル台。シカゴVIX指数(恐怖指数)はさらに低下し、リスクオンで金先物価格は3日続落した。

 経済指標は、必ずしも良くない。アメリカの新規失業保険申請件数は前週比+2.2%で市場予測より悪かった。12月の新築住宅販売件数は前月比-10%の53.6万戸。住宅需要を価格上昇、FRBの利上げに伴う住宅ローン金利の上昇が冷やしている。企業決算もまちまち。フォードは最終赤字で赤字幅が市場予測より悪く、FCA(フィアット・クライスラー)は増収増益でもEPSは市場予測を下回った。キャタピラーは赤字拡大。ベーカー・ヒューズは赤字幅は縮小したがEPSは悪化した。IT・ネット系は、前日発表のAT&Tは10~12月期のEPSも2017年の通期見通しも市場予測と一致。取引終了後発表のマイクロソフトは増収増益、インテルは増収減益でともにEPSは市場予測を上回ったが、アルファベット(グーグル)は増収増益でもEPSが市場予測より悪かった。

 毅然と「対立も服従もしない」と言っていたメキシコのペニャニエト大統領は31日の訪米、首脳会談を中止した。トランプ大統領は「国境の壁」の建設費用〃立て替え払い〃の予算の財源としてメキシコからの輸入に20%の関税をかける方針で、「米墨経済戦争」の様相を呈している。安倍首相の訪米、首脳会談は2月10日で調整中。TPPでダメなら二国間のFTAがあるさ、という。アメリカの長期金利は低下したが朝方の為替レートはドル円が114円台半ば、ユーロ円が122円台前半でドル高円安進行。大阪夜間取引終値は19480円。CME先物終値は19505円。