フォルクスワーゲン(VW)が先日の北米自動車ショー(デトロイトショー)見せた新しいコンセプトカーは新しい電動車「I.D. Buzz」(I.D.バズ)だ。未来のミニバンをイメージしたコンセプトモデルで、人を乗せて移動するだけでなく、同乗する仲間と愉しい時間を過ごすことができるファミリー向けキャンピングカー思い起こさせる。
VWは、昨年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)でも同様のコンセプトカー「BUDD-e」を公開しており、2年連続で電動ミニバンのコンセプトモデルを出展した。この手のモデルをVWが本気で考えている現れともいえそうだ。
BUZZは前後アクスルにモーターを備える電動4WDで、バッテリーは床下に搭載。そのため室内フロアが広くフラットになり、最大8人の乗車が可能となっている。また、1回の充電で270マイル(430 km)走り、完全自動運転モードを備える。前部座席は後部コンパートメントと向かい合わせて配置でき、用途に合わせてアレンジ可能なモジュラーシートを採用した。
車載エンターテイメントシステムも、乗車パターンに応じて設定できるようで、コンソール中央では着脱可能なすべての操作を指令できる大型タブレットが備わる。フロントガラスにAR対応のヘッドアップディスプレイが装備され、さまざま情報を表示する。VW IDを使って利用者を識別するので、ドライバーごとに好みを設定できる。Blutooth対応スピーカーは車外に持ち出してキャンプ場などで使うこともできる。
1960年代に一世を風靡したVWタイプⅡ(通称VWマイクロバス)は、内装の柔軟性の高さで人々に愛された。冒険心のある家族にとって最適なレジャー用の乗り物で、あるときには移動用キッチンカーにもなった。
新しいBuzzは、そのVWタイプⅡへのオマージュで、かつてのDNAを引き継いでいるように見えるが、電動テクノロジーを採用するなど、世代に合わせてアップデートされている。
Buzzは、あくまでコンセプトモデルであり、これが生産モデルとして登場する保証はない。ただ、VWは2025年までに電気自動車を100万台販売するとしており、Buzzには、今後5年から10年のVWの戦略が詰まっているように思える。(編集担当:吉田恒)