日本経済団体連合会の榊原定征会長は関西会員懇談会後の記者会見で、ドナルド・トランプ米大統領が自国産業の保護こそが素晴らしい繁栄と強さにつながる旨の発言をしていることについて「文字通り解釈すれば懸念を感じざるをえない」と語った。
榊原会長は「保護主義は世界経済がこれまで目指してきた持続的な経済成長に反する方向だ」とし「TPPからの離脱、NAFTAの見直しを表明しているが、TPPについては米国にとっても安全保障や経済など多くの面でプラスの効果があり、安倍総理も粘り強く働きかけていくと発言しており、経済界としても諦めることなく、連邦政府や州政府、米国経済界に対して、TPPの経済的、戦略的意義をきちんと発信していく」とした。
また「NAFTAについては、仮に無関税措置を含めて見直すとなれば、北米で構築しているサプライチェーンの前提が変わり、日本経済に非常に大きな影響を及ぼすことになる」と懸念を示した。
榊原会長は10日の日米首脳会談では「日米同盟関係の重要性と継続性を再確認すること」としたほか「自動車産業をめぐる一連のトランプ大統領の発言に関して、日本企業の米国における事業活動の実態を正しく理解してもらう必要がある」とし「米国市場の日本車の70%は米国製であり、輸入は30%に過ぎない。また、日本の自動車関連企業だけで米国で約150万人の雇用を創出している。加えて、日本市場の乗用車・トラックへの関税はゼロで、非関税障壁も改善され、もはや存在しない。米国車が日本で売れないのは消費者の選択の結果であり、安倍総理にはそうした実態をきちんと伝えてほしい」と提起した。(編集担当:森高龍二)