【今週の振り返り】大統領の「爆走」に翻弄され549円下落した週

2017年02月04日 20:26

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政権の引き継ぎもそこそこに、猛烈なスタートダッシュをかけるトランプ大統領。中央銀行イベントも経済指標も企業決算も脇役に追いやられ、マーケットは右往左往。

 日経平均始値は82円高の18996円。高値は9時24分の19061円。安値は11時26分の18830円。終値は3.62円高の18918円。前日大引け後にファーストリテイリング<9983>が発表した1月の国内ユニクロ既存店売上高は前年比-2.5%。2ヵ月連続マイナス。寒いと冬物がよく売れるが、雪まで降って積もったら客足が伸びないという。もちろんそれは積雪がないのが普通の地域の話。

 立春前日の「節分」の日の日経平均は反発して19000円の4円手前で始まり、直後19000円台を回復する。TOPIXもプラス。序盤、いったん19000円を割り込んだ後で順調に値を上げて19050円を超えるが、上昇はそこまで。9時台は19000円は割り込まず100円高前後の水準で推移する。アメリカ雇用統計の発表待ちもあり静かな滑り出し。日本の観光地の新しい稼ぎ時、春節(旧正月)休暇が明けて上海株式市場が再開する日。

 10時10分すぎ、日経平均は突然急落する。19000円を割り込み10時30分に18924円まで下げるがプラス圏は維持。為替のドル円は乱高下した。この時間帯なら誰でも思いつくのは「中国人民銀行の人民元交換レートの設定」だが、わずかに下げただけ。真相は日銀の国債買い入れに伴い東京外為市場で大規模な仕掛け売買で長期金利上昇、円高進行という、キツネとタヌキの化かしあい。10時30分、上海市場では1週間ぶりの取引がプラスで始まるが直後マイナスに落ちる。1月の財新の中国製造業PMIは51.0で市場予測の51.8を下回った。12月から0.9ポイント低下したが50は超えている。日経平均はいったん19000円台を回復するが、11時台には再び急落しマイナスに。節分だからか鬼のような仕掛け売りが入り乱高下した末、前場は70円安で終了。しかしTOPIXはマイナスにタッチしながら前引けプラスだったので、日銀のETF買いが入るかどうかは微妙なところ。

 昼休みもドル円は112円台後半のままで変わらず。後場は下げ幅を縮小して再開した直後プラス転換。TOPIXはプラス幅を拡大する。0時台、今度は逆に突然急騰して19000円を突破する。理由はまたまた日銀の国債買い入れオペに伴う仕掛け売買。金利上昇にびびった日銀の「指値オペ通知」で長期金利が下落し、今度は東京外為市場で円安が113円台まで急進した。それが短時間で落ち着くと日経平均は19000円を割り、18900円台前半の小幅高圏で推移する。2時前にマイナスに落ちても2時すぎには再びプラスに浮上するが19000円はなお遠い。「利益確定売りの金曜日」で、終盤の日経平均は18900円台半ばから前日終値18914円前後まで下げ、終値がプラスになるかマイナスになるか最後までわからなかったが、大引けでプラスに滑り込み。TOPIXは後場プラスを保って終了した。

 投機筋の「日銀プレイ」に振り回された一日だったが、その日銀の債券オペではなくETF買いのほうは前日に続いて入らなかった。前日と違い、日銀が日経平均より重視するTOPIXの前引けがプラスだったので「裏切り」とは言えない。

 日経平均終値は3.62円高の18918.20円、TOPIX終値は+4.58の1514.99。売買高は21億株、売買代金は2兆6288億円。値上がり銘柄数は996、値下がり銘柄数は854。プラスは19業種で、その上位は非鉄金属、その他製品、銀行、水産・農林、医薬品、パルプ・紙など。マイナスは14業種で、その下位は空運、ゴム製品、陸運、卸売、情報・通信、鉄鋼など。春節(旧正月)休暇明けの上海総合指数は0.60%安だった。

 今週の星取は2勝3敗。前週末1月27日の終値19467.40円から549.20円下落して今週の取引を終えた。

 3月期決算銘柄の4~12月期決算発表がピークを迎えているが、昨年秋からの為替の円安進行で、輸出関連銘柄や、収益に占める海外事業のシェアが大きい銘柄では通期業績見通しの上方修正の大盤振る舞いになって一足早い春の訪れになる、かと思いきや意外に慎重。決算会見で各社のトップの口からは「トランプ新政権の政策が読めない」というニュアンスのコメントが続出していた。立春を過ぎても、春は名のみの風の寒さや。時にあらずと、声も立てず。(編集担当:寺尾淳)