マツダは今夏、国内でコンパクトSUV「CX-3」のガソリン車を発売するようだ。海外のいくつかの国で販売されているCX-3の状況を見ると、ガソリンエンジン搭載車もある。ところがそれは排気量2リッターと、車格に対して大きすぎるようにみえる。日本でCX-3は、ディーゼル専用車となっている理由が、このあたりにあるのかもしれない。車格を考えればデミオやアクセラに積まれている1.5リッターのガソリンエンジンがふさわしいように思える。
CX-3の車両重量は、同じクリーンディーゼルエンジンを積むアクセラより100kg近く軽い。ならば、アクセラの1.5リッターガソリンで十分と思う。少なくとも2WDなら1.5リッターのCX-3でも問題ない。
これまで画期的ではあったが、ディーゼル車だけというCX-3は、販売台数が伸び悩んでいた。トルクフルで力強い走り、好燃費はディーゼル車が勝るが、ガソリン車は車両価格が30万円程度安くなるとみられる。消費者の選択肢を増やしてコンパクトSUV需要を掘り起こし、低迷する国内販売のテコ入れにつなげたいマツダの思惑が滲む。
CX-3は2015年に発売したコンパクトなSUVだ。国内では、独自の高効率クリーンディーゼルエンジン専用車とした。同社の小型車「デミオ」と共通のプラットフォームを使い、車高をアップするなどSUVとしてアグレッシブなエクステリアを獲得した。
ただし、ディーゼルエンジンは製造コストが高い。CX-3の国内最低価格は、240万円とコンパクトカーとしては高水準だ。同クラスのホンダ・ヴェゼルの最低価格約190万円などに比べて販売が伸び悩んでいた。マツダはディーゼル車の魅力を訴えつつも、ガソリン車の発売で低価格帯のクルマを求める需要にも応える。
マツダの国内販売は、2016年10月まで13カ月連続で前年を割り込んだ。11月にプラスに転じたものの、12月から再びマイナスが続いている。今年2月には主力のミドルサイズSUVであるCX-5をフルモデルチェンジし、秋にはCX-5ベースの3列シート7シーターの派生車を発売する計画だ。グローバルで人気の高いSUV拡充で、マツダが反撃に出る。(編集担当:吉田恒)