自民党の石破茂前国務大臣がブログで閣僚の国会答弁に苦言を呈した。24日のブログで「最近、閣僚答弁に原稿棒読みのものが目立つようになったことはとても残念です」と書いた。同じ与党の幹部議員が書かざるを得ないようなひどい状況が、ずーと続いている。
予算委員会の答弁の度に大臣席に近づき、後ろから資料や助言を官僚が行う光景が頻繁にあると、大臣は審議案件を理解しているのか、官僚の言いなりではないのか、官僚をコントロールできるのか、と不安を覚える。
石破前国務大臣は「(官僚が用意した答弁原稿は)失敗も無く安全ではあるが、官僚たちが書く『霞が関文学的な答弁案』は、そのまま聞いただけでは何が言いたいのかよくわからないように作成されている」と、まさに、まどろっこしい、責任追及されても、後日に逃げ切れるような表現でまとめられており、民主党政権時代の大臣答弁とは真逆だ。
民主党政権下での閣僚は自身の言葉で答弁することに努めていたこともあり、失言や訂正も多かったが、審議内容に対し、政府側、与野党の議員とのやり取りを通して、国民には非常に政治が分かり易いものになっていた。もちろん、安倍内閣でも自身の言葉で明確に答えている閣僚もいる。
内容を熟知して答弁しているか、十分な知識も持たずに閣僚に抜擢され、官僚頼みで答弁するしかない大臣の答弁かは答弁を聴いていれば、誰にでもわかる。
石破前国務大臣は「官僚の答弁案を事前に丹念に読み込んで咀嚼し、自分の言葉に置き換え、原稿を見ないで答弁してこそ相手側に伝わるのであり、その技術向上に政府・与党全体として更に努めるべきものと思う」と綴って、提言しているが、自身の言葉で答弁してきた石破前国務大臣にとっては、歯がゆい思いが隠せないもよう。
石破前国務大臣は、質問通告から答弁までの構造的な時間のなさにも、課題があると提起し、改善できないかを提起した。
石破前国務大臣によると「質問が出揃うのは往々にして前日夜遅く、官僚たちが徹夜で答弁資料を作成し、出来上がるのが午前4時過ぎ、これが議員宿舎などに居る大臣の手元に届くのが午前5時、午前7時からの答弁打ち合わせで直すべきところを指示し、原稿が最終的に完成するのは午前9時の委員会開会直前というのが通例」としている。
このため「国会開会中は、大臣たちは全く時間的・心理的余裕がない。せめて質問通告がもう少し早ければもっときちんとした答弁が出来、充実した審議になるのに、と思うが、なかなかうまくいかないものです」と官僚頼りの大臣答弁を少しフォローすることも忘れなかった。
石破前国務大臣は、ブログの中で「小学校の学級会の如き野党と政府側の感情的な応酬にうんざりする」とも、書き込んだ。これも官僚作成の答弁案による大臣答弁の副産物ではないのか。任された行政各部門のトップとして、各大臣が自身の言葉と責任の下で答弁すれば国会中継を注視する国民も増えるし、政策への理解も高まると思われる。(編集担当:森高龍二)