博報堂では、グローバル市場でのマーケティング戦略に活用するためのオリジナル生活者調査『Global HABIT(グローバル・ハビット)』を2000年からアジアを中心に世界の主要都市で中・上位収入層を対象に毎年実施している
博報堂では、グローバル市場でのマーケティング戦略に活用するためのオリジナル生活者調査『Global HABIT(グローバル・ハビット)』を2000年からアジアを中心に世界の主要都市で中・上位収入層を対象に毎年実施している。最新(2016年実施)のGlobal HABIT調査のデータをもとに様々な角度から分析を行っている。今回のレポートでは、アジア14都市生活者における情報端末の保有・利用実態についての分析結果を報告した。
14都市とは、香港・台北・ソウル・上海・北京・広州・シンガポール・バンコク・ジャカルタ・クアラルンプール・メトロマニラ・ホーチミンシティ・デリー・ムンバイ。
ここ最近のスマートフォンの浸透は目覚ましい。特に香港、台北、中国3都市(北京、上海、広州)、ソウル、シンガポールで軒並み100%に迫る勢い。最も低いデリーでも約2/3(63.9%)の人が保有しており、モバイル情報端末の主役は完全に携帯電話からスマートフォンに変わった。
スマートフォンを使う人が増えるに従い、インターネットへのアクセスもスマートフォンからという人が多数派になった。調査した14すべての都市で、インターネットにはスマートフォンでアクセスする人が、パソコンでアクセスする人を上回った。スマートフォンとパソコンのネットへのアクセス率の差が大きいのは、ホーチミンシティ、バンコク、ジャカルタ、ムンバイ、デリー。これらの都市では、パソコンがネットアクセスのスタンダードという時代を経ることなく、スマートフォンメインの環境に移行していくと思われる。新興国では先進国のように消費が段階的には進まず、いきなり最新のものが普及するケースが時折みられるが、この領域もそれに該当する可能性が高いとしている。
仕事以外で利用するインターネットのサービスは、ソーシャルメディアやメッセンジャーなどいわゆるコミュニケーション関係を中心に、ニュース視聴や情報検索、動画共有サービスや動画視聴、カメラ/ビデオ機能など多岐にわたっている。ユーザーの裾野が広がっただけではなく、様々なサービスを使いこなしている。スマートフォン保有率の高い都市ほど利用しているサービスの幅が広いのは当然ではあるが、相対的に保有率の低い都市でも広がりがみられる。保有経験が積み重なれば、これらの都市でも多機能の使いこなしが進むのは確実である。
各国でeコマース市場が立ち上がってきているが、インターネットにアクセスできる情報端末が増えたことも追い風になっているのは間違いないであろう。本調査では「オンラインショッピング」、「チケット予約」、「フードデリバリー」、「ネットオークション」についての利用を聞いているが、以前からスマートフォンやパソコンの保有者が多い都市では利用が既に活発に、低い都市ではこれからという傾向がみられたとしている。(編集担当:慶尾六郎)