安倍晋三総理は19日行われた防衛大学校卒業式での訓示で、政権交代が「我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、責任を持って対応せよとの国民の声に背中を押され、実現した」と語っていた。
デフレからの脱却、経済再生を全面に、経済政策・雇用拡大政策で戦った選挙での政権交代ではあったが、安倍総理が安保問題をテーマに総選挙を戦ったことは記憶にない。これまでの総選挙はすべて「アベノミクスを強力に進める」経済中心の選挙だった。総理の政権交代に関する部分は国会でも議論になりそう。
また、安保法制に関し、安倍総理は「平和安全法制をめぐっては国論を二分する大きな議論があった。戦争法案といった、全く根拠のない、ただ不安だけをあおろうとするレッテル貼りが横行した」と自論を展開。
そのうえで「今月、北朝鮮が保理決議を踏みにじり、ミサイル発射を強行した。国際社会への明確な挑戦であるだけでなく、3発のミサイルがEEZ(排他的経済水域内)に着弾し、うち1発は能登半島からわずか200kmの場所に落下した。我が国の安全保障上、極めて深刻な事態だ」とし「新たな段階に入った北朝鮮の脅威に対し、直ちに日米電話首脳会談を行った。トランプ大統領からは米国は100%日本と共にあると表明された。そのことを日本国民の皆さんに伝えてほしい。助け合うことができる同盟は、その絆を強くすることができる。平和安全法制によって日米同盟の絆は間違いなく強固なものとなった」と強調した。
安倍総理は「自らの手で自らを守る気概なき国を誰も守ってくれるはずがない」と語り「安全保障政策の根幹となるのは、我が国自らの努力。我々は我が国自身の防衛力を強化し、自らが果たしうる役割の拡大を図っていかなければなりません」と防衛力強化を語った。(編集担当:森高龍二)