『神風が吹いた』関係者は証人喚問で証言すべき

2017年03月25日 08:30

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全くの民間人を証人喚問できた自民党が、公務員を秘書に付けた総理夫人や事案に関係している官僚を、籠池氏以上に慎重に扱わなければならない合理的理由は国民視点からは見つからない

 大阪府豊中市の国有地払い下げや小学校認可を巡る問題で、払い下げを受け、小学校開校を目指していた大阪市の学校法人森友学園・籠池泰典理事長が23日、衆参での証人喚問に応じ、虚偽答弁すれば偽証罪に問われる中で「証言した」。

 籠池氏は安倍晋三総理の昭恵夫人に定期借地契約延長に関して相談をした。夫人付き官邸職員(公務員)の谷査恵子氏が財務省に問い合わせを行った内容がファックスで寄せられた。また昭恵夫人から、2015年9月に「安倍晋三からです」と封筒に入った100万円の寄付を受け取ったと「証言した」。

 翌24日の参院予算委員会では安倍晋三総理や菅義偉官房長官、参考人として当時の理財局長(迫田英典国税庁長官)、近畿財務局長(武内良樹国際局長)が答弁に立ったが、安倍総理は籠池氏の証言を真っ向否定。2月の国会答弁同様「国有地売却や小学校認可に私も、妻も、事務所も全く関与していない」と強調した。2月時には「関係していたとすれば、総理はもちろん国会議員も辞める」と断言している。

 また100万円の寄付について、総理は「密室でのやり取りなど、反証できない事柄を並べ立て、事実と反することが述べられていることは誠に遺憾だ」とした。ただ、籠池氏が『証人喚問』という厳しい立場で証言しているのに対し、政府と行政関係者は同じ土俵での答弁ではなく、説得力がない。

 昭恵夫人もフェイスブックで「100万円の寄付金をお渡ししたことも、講演料を頂いたこともありません」と籠池氏の証言内容を全面否定したが、こちらも土俵の外からの反論に過ぎない。

 国有地払い下げにかかる問題の真相はどうだったのか、政治的な力が働いたのか、籠池氏のいう「神風が吹いた」との真相究明が益々、必要になっている。

 民進党の山井和則国対委員長は24日の自民党・竹下亘国対委員長との会談後のぶら下がりで、竹下国対委員長は政治家の関与がないことが明らかになったと強調したが、安倍総理夫人の昭恵氏関与について、「事実上、安倍総理と一体。安倍総理本人がこの森友学園問題に関し口利きに関与していたのではないかともとられかねない疑惑だ」と疑惑がより深まっているとして、真相解明へ、昭恵夫人を含めた証人喚問の必要性を改めて訴えた。民進・共産・自由・社民の4党は証人喚問の必要について、認識を共有している。

 一方、自民党は早期幕引きを図りたいもようで、昭恵夫人や迫田国税庁長官、武内国際局長ら関係者の証人喚問を拒否している。山井国対委員長は「幕引きを図ろうとする姿勢がありありで、とんでもないことだと感じた」と屈せずに証人喚問を求めていく考えを示した。

 国民の多くは籠池氏と同じ土俵で、自己の主張が正しいことを証言すべきだと期待している。同時に偽証する必要がないなら応じることは容易なはず。全くの民間人を証人喚問できた自民党が、公務員を秘書に付けた総理夫人や事案に関係している官僚を、籠池氏以上に慎重に扱わなければならない合理的理由は国民視点からは見つからない。関係者が証人喚問で事実を証言されることを願う。多くの国民は週明けからの動向を注視している。(編集担当:森高龍二)