【今週の展望】4月に何が変わり、何が変わらないのか手探り

2017年04月02日 20:22

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新年度、新決算期の始まりで、投資家のスタンスはどう変わる。4月は「ものみなは新しき良し春」なのか?それとも「残酷な月」になってしまうのか?

 4月第2週以降の「雲」は上限も下限も徐々に上昇していく。ねじれもせず、消えもせず、雲は「日経平均はモタモタしていないで早く2万円に到達せよ」とせかすかのように19159~19379円のレンジに存在し続ける。

 前々週末の3月24日は、ボリンジャーバンドで言えば終値は25日線-1σ~+1σ間の「ニュートラル・ゾーン」に位置していたが、31日はそこから下にはずれて25日線-1σ~-2σのゾーンにあった。終値18909円は-1σの19105円の196円下で、-2σの18890円のわずか19円上。かなり下寄りに位置している。単純に言えば「下値限定、上値はかなり追っていける」というポジション。31日後場の急落が、嫌でもそうさせた。

 オシレーター系指標は、3月31日終値の段階で「売られすぎ」のシグナルが1個点灯している。それはRSI(相対力指数)で、29.82という数値は売られすぎ基準の30をわずかに割り込んだ。それ以外は、25日騰落レシオは90.43。25日移動平均乖離率は-2.12%。サイコロジカルラインは5勝7敗で41.7%。ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は22.18で売られすぎ基準の20に近い。RCI(順位相関指数)は-45。ボリュームレシオは41.33。オシレーター系指標は総じて言えば、売られすぎシグナル1個も基準をわずかに割り込んだだけで、他に1個、売られすぎに近いのがある以外はニュートラル。3月31日後場の下落ぶりがすさまじかったので「売られすぎ続出」かと思いきや、そうではなかった。その分、今週の反発力はそれほど強くはないと推定できる。

 3月24日時点の需給データは、信用買い残は17日時点から682億円増の2兆6147億円で、6週連続で増加し約1年ぶりの高水準。信用倍率(貸借倍率)は2.68倍から2.78倍に増加し3週連続の増加。信用評価損益率は-6.40から-6.82へ2週連続で悪化した。裁定買い残は773億円減の1兆7832億円で、2週ぶりの減少。「トランプ・ラリーの終焉」で週間騰落が259円安になった週で、需給は悪化をみせていた。

 3月21~24日の投資主体別株式売買動向は、外国人は3741億円の6週連続の売り越し。個人は3266億円の2週連続の買い越し、信託銀行は790億円の8週連続の売り越しだった。個人の買い越しと外国人の売り越しの「対決色」が、より鮮明になっていた。

 前週5日間のカラ売り比率は、27日が41.1%、28日が39.1%、29日が40.3%、30日が40.8%。31日が40.4%。大幅高の28日以外は40%台。28~29日は権利確定イベントなので、信用売りと現物買いを組み合わせて株主優待をゲットするテクニックが行使された影響などがありカラ売り比率が40%以上に高まったのかもしれないが、年度末でもあり需給状況はよくなかった。日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)は、31日終値は18.55で17日終値17.87より0.68ポイント上昇していた。27日の19台から権利配当落ち日の29日は16台まで下がったが、31日にかけて再び上昇した。

 3月31日のヨーロッパ市場は、EUのトゥスク大統領が離脱条件など表明した英国が続落したがドイツ、フランスは3日続伸。ヨーロッパ最大の経済規模を持つドイツの失業率は5.8%で、前月比でも市場予測比でも0.1ポイント低下し、1990年10月の東西ドイツ統一以来最低を記録した。移民の労働力を必要としている。ユーロ圏の消費者物価指数(HICP)速報値は前年同月比+1.5%で前月比0.5ポイント下落し、市場予測も下回った。31日のNYダウは65ドル安と反落。エネルギー、金融セクター中心に、東京市場と同様に期末の手じまい売りに見舞われた。NASDAQは6営業日ぶりの反落、S&P500は4日ぶりの反落。原油先物価格は4日続伸して50ドル台維持。金先物は反発した。

 アメリカの個人所得は+0.4%。その中の「賃金・給与」は5ヵ月ぶりの大幅増。個人消費支出(PCE)は+0.1%で市場予測を下回ったが、PCEデフレーター(PCE価格指数)は前年同月比+2.1%で、FRBのインフレ目標2%を4年10ヵ月ぶりに上回った。ミシガン大学消費者態度指数確報値は前月も市場予測も下回ったが、シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は市場予測を上回った。NY連銀のダドリー総裁の「今年の利上げはあと2回」発言がアメリカの長期金利を低下させてNY時間の為替市場のムードを重苦しくし、ドル円は111円台前半、ユーロ円は118円台後半で円高進行。大阪夜間取引終値、CME先物清算値はともに18960円だった。

 3月31日の午後2時前から大引けにかけての東京市場は、それまでの平穏な値動きが一変して250円を超える下落を喫し、年度末ならぬ「世紀末の阿鼻叫喚」とも言えそうな情け無用の下げ地獄に堕ちた。こんな出来事があると4月相場は需給が不安定になりかねず、マーケット関係者が願う2万円回復は「夢のまた夢」と言わないまでも、遠ざかる。

 それでも、4月のマーケットは縁起の悪い「三日新甫」と「アメリカ雇用統計待ち」でスタートする。下げすぎの反動で19000円台は3日早々に回復できるとしても、そこからの上昇は期待薄。なぜなら、月初めの支援材料が為替の円安以外、あまり見当たらないからである。日銀短観も小売大手の2月期決算も、かなり織り込み済み。「春のIPOまつり」も終わってしまった。

 逆に足を引っ張りそうな材料は、地政学的リスクも含めて海外に事欠かない。たとえば連邦議会の共和党の造反議員「フリーダム・コーカス」は、NY市場の「トランプ・リスク要因」になりつつある。アメリカ経済も好調すぎて、経済指標が少し悪かったらNYダウは売り材料、為替はドル安円高要因になって、日経平均をさいなむ。