民進党の大串博志政調会長は4日の記者会見で、安倍内閣が皇国史観に基づく、いざという時には天皇に命を捧げる思想を規定した教育勅語について「憲法などに反しないような形で教材として用いることまでは否定されない」などとする答弁書を閣議決定したことに「安倍政権の戦前回帰の動きを如実に表すものではないか」と強く問題だとした。
大串政調会長は「教育勅語は戦後衆参両院で排除・失効の確認を決議した経緯がある。安倍政権であらためて肯定していく動きは戦前回帰以外の何ものでもない」と非難した。
また「憲法や教育基本法に抵触しなければいいとあるが、これが具体的にどういう意味なのかを国会で論議しなければならない。そこがあいまいなままでは教育勅語がなし崩し的に教育現場に蘇ることになりかねない」とし、憲法や教育基本法に抵触しなければ、とする具体的意味合いを国会で議論する必要があると、当然ながら問題提起した。
教育勅語は「明治憲法下で天皇への崇敬の念を幼少期から全国民に受けつける効果があげられた」(国史大辞典)。また教育勅語は明治憲法下において「国民道徳を公定する規範」としての役割を果たしてきた。「教育勅語のどこが悪い。父母に孝行し、夫婦相和しを教えて悪いのか」と教育勅語の中段部分をとりあげての反論があるが、決まって、彼らは前段と後段を語らない。
前段にあるのは、記紀神話に基づく肇国の由来と国体の精華であり、中段結びには「一旦緩急あれば、義勇公に奉し、以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし。かくのごとき、独り朕(天皇)は忠良の臣民たるののみならず・・」といざという時には天皇のためにすべてをささげ「永遠の皇国を支えましょう」という内容。
このため、教育勅語は1948年に衆院で『教育勅語自体が主権在君の立場』ということなどから排除決議された。また参院では失効確認されている。教育勅語の教育の根本が『天皇中心の国体思想』、『皇国史観』により捉えた君臣関係など、主権在君の明治憲法と一対のもので、主権在民の現行憲法から相容れないものだったからだ。教育勅語の肯定は憲法改正がない限り許されない。(編集担当:森高龍二)