世界のCEOの意識 過去20年において最も楽観的な見方が強まっている時期に

2017年04月23日 15:34

PwC Japanグループは、「第20回世界CEO意識調査 過去20年におけるCEOの意識変化 未来をどう描くか?」の日本分析版を発表した。2017年1月にPwCが発表した調査から日本企業のCEO110名の回答に焦点を当て、世界全体や他地域と比較を行い、日本企業が置かれている状況や今後の課題について考察したもの。

 それによると、自社の成長の見通しについて、世界のCEOのうち、短期的(今後12カ月)に「非常に自信がある」と回答したのは全体の38%、中期的(今後3年間)な見通しでは51%となった。とりわけ、中期の見通しについては、2008年の金融危機以降最も高い水準まで回復している。1997年に行った第1回目の意識調査では、当時のマーケットは相当強気な地合いであったにもかかわらず「非常に自信がある」と回答したCEOは全体の3分の1であったことからも、現在、世界的には過去20年において最も楽観的な見方が強まっている時期にあるものと解される。

 世界的には楽観的な見方が強い一方で、日本のCEOの回答では、自社の成長の短期的な見通しに「非常に自信がある」との回答は、昨年28%から14%に半減、中期も33%から21%に大幅に低下しており、国別のデータでの比較においても日本のCEOの慎重な姿勢は際立っている。

 自社が成長する上で重要な国・地域としては、世界全体では米国(本年43%、昨年39%)、中国(33%、34%)、ドイツ(17%、19%)、英国(15%、11%)となり、米国への集中度合いが高まった他に大きな変化はみられなかった。日本は昨年の7位(5%)から今年は5位(8%)に順位を上げており、新興国への関心が低下する反面、日本への関心度合いは相対的に上昇していると言える。また、昨年は10位圏内に入っていたロシアとUAEが圏外となり、新たにフランスとオーストラリアが10位圏内に入った。世界的には、新興国から先進国に関心がシフトしている傾向が読み取れる。

 日本のCEOの回答においても、米国(本年61%、昨年55%)と中国(58%、45%)への集中が高まる一方で、アジアの新興国に対する関心が低下した(顕著な例では、タイは昨年28%から17%に低下)。また、昨年8位(11%)であったドイツは10位圏外(6%)になり、韓国が一昨年来10位圏内に入った。

 世界、日本のCEOともに最も多く回答が集まったのは「イノベーション」であった。他方、2位以下を見てみると、世界では「デジタルおよびテクノロジーに関する能力(15%)」と「人材(15%)」が同率2位となったものの、日本では「人材(30%)」と「競争上の優位性(17%)」の割合が高く、「デジタルおよびテクノロジーに関する能力」を挙げたCEOは全体の4%にとどまった。地域別に見ると、日本のCEOの「デジタルとテクノロジーの能力」の回答割合は最低水準となっている。

 CEOの個人的な習慣などに関する質問においても、日本のCEOのデジタルに関するスキル、ホームオートメーションシステム、ロボティクスなどのテクノロジーの使用経験に対する回答は他地域のCEOと比べて圧倒的に低いことが明らかとなった。(編集担当:慶尾六郎)