投資家の不況時における判断材料

2012年03月05日 11:00

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飲料業界ではダイドードリンコも、年に4回、東京や大阪だけでなく、地方にも出向き定期的に決算説明会を実施。2月28日には、決算発表直後のタイムリーなIR活動として、「2012年1月期 決算説明会」を開催した。

 上場企業各社が、アナリストや個人投資家に対し、決算概要や業績予想、今後の計画、戦略を伝える方法のひとつである決算説明会。企業のトップが直接、説明することもあるが、フェアという形で各社のIR担当者が同じ会場に集まり行われることもある。また、最近は決算説明会の模様を配信するサイトも多く存在しているようだ。

 例えば日本経済新聞社が開催している日経IRフェアは、毎年多くの企業が参加し、多数の来場者が訪れている。こういったフェアでは、個人投資家は持ち株企業の決算状況や戦略などの説明をトップやIR担当者と話すことで安心することができると共に、他社の動向も一度に見ることができるため、好評を得ている。本年度も8月に開催を予定されており、14000人の来場を見込んでいるという。

 また、一社単独で決算説明会を実施している企業としては、航空貨物輸送を主力事業としている国際総合物流企業である近鉄エクスプレスや信金中央金庫などが挙げられる。飲料業界ではダイドードリンコも、年に4回、東京や大阪だけでなく、地方にも出向き定期的に説明会を実施している。去る2月28日には、決算発表直後のタイムリーなIR活動として、「2012年1月期 決算説明会」を開催。当日は高松社長による説明に加え、参加者からの質問に応える時間や、同社の売上の90%を占める自販機を壇上に上げ、機能などの説明するコーナーも設け、1000人を超える参加者が来場したようだ。「震災時のライフラインとして活躍した災害救援自販機や、夏場に話題になった自販機の節電のしくみなどを紹介しました。直接、自販機の構造などを見て頂く事で、当社への理解がさら深まって頂ければ」と担当者。また2部構成にし、有名文化人を呼んでの講演会も併せて行うなど、新たな個人投資家の確保も狙っている。

 国内の長引く不況は今なお、続いている。その中で、企業が経営努力と同時に重要視しなければならないのは、株主・投資家とのコミュニケーションを図り、信頼関係を築くことだろう。企業と直接接することができる場として、決算説明会に重きをおき、積極的に行う企業が、今後はさらに増えると考えられる。数値結果のみならず、こうしたIR活動も、今後の企業を判断する材料として有効であろう。