グリーンラベルの「ニッカ・カフェジン」とブルーラベルの「ニッカ・カフェウオッカ」、ともに参考小売価格4500円(税別)と高価格帯のスピリッツ。当面、高級なオーセンティックバーやホテルのバーなどに訴求する
国内酒類大手が相次いでホワイトスピリッツ強化に乗り出している。それも高額製品の強化だ。
アサヒビールの新製品発表会が都内で開かれ、同グループのウイスキー製造会社であるニッカウヰスキーが製造するホワイトスピリッツの新プレミアムブランドとして「ニッカ・カフェジン」と「ニッカ・カフェウオッカ」を6月27日に発売すると発表した。
この「カフェジン」「カフェウオッカ」は、世界的に稀少性が高いクラシックなカフェ式連続蒸溜機(カフェスチル)でつくるスピリッツ。カフェ式連続蒸溜機は、日本では、唯一ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所に設置しており、連続蒸溜機として世界的にも初期のパテントスチルとされるクラシックな機械だ。現在の蒸溜機と比較すると決して効率は良くないが、抽出する蒸溜液には原料由来の香りや成分が残り、個性溢れる味わいに仕上がる。ニッカでは、カフェスチルを1964年からグレーンウヰスキーを蒸溜してきた実績を持つ。
新ブランドの「カフェジン」「カフェウオッカ」は、カフェスチルが生み出す味わいと香味を十分に活かし、そのうえで培ってきた高いブレンド技術と知見を融合させた革新的なスピリッツだ。
アサヒビールによると、国内でのジン・ウオッカ市場(輸入を含む)は前年比101%と推定、安定した市場だという。そのなかにおいて販売価格が3000円/(700ml)以上のプレミアムスピリッツは、世界市場で前年比109%と酒類市場を牽引しているという。高価なスピリッツに対する市場の要求に応えるため、ニッカは数年前から新製品の開発を進めていた。
「カフェジン」は、大麦麦芽(モルト)やトウモロコシなどの原料を「カフェスチル」で蒸溜した「カフェ蒸溜液」をベースに、山椒、柚子などの和柑橘、ジュニパーベリーなどを「カフェ蒸溜液」に別に浸漬、香味成分を十分に抽出した後、再蒸溜したスピリッツを複数ブレンドしたプレミアムジン。和柑橘の爽やかな香りと山椒のスパイシーな香りが調和し、コクを感じさせる甘い口当たりと、ボタニカル由来の香りが重なり合う刺激的で複雑な味わいが特徴だ。アルコール度数は47%。
「カフェウオッカ」は、大麦麦芽やトウモロコシなどの原料を「カフェスチル」で蒸溜した「カフェ蒸溜液」を複数ブレンドしたプレミアムウオッカだ。カフェスチル蒸溜による麦芽のフローラルな香りとトウモロコシ由来のキャラメルのようなコクのある甘い香りが、やわらかくコクのあるなめらかな口当たりとして残るのが特徴といえる。アルコール度数は40%。
「カフェジン」「カフェウオッカ」ともに参考小売価格は税別で4500円(700ml)としており、発売後1年間で1000ケース(1ケースは700ml、12本換算)の販売を見込んでいる。なお、今年9月以降に欧米でも展開する予定だ。
国内酒類大手のサントリーもビームサントリーと協働で、先日プレミアムジンの新製品「ROKU」を7月から発売すると発表。こちらも参考小売価格は税別で4000円(700ml)としている。日本国内のプレミアムジン市場では、英国の「ヘンドリックス」(市場価格3500円〜4000円程度)が、1000ケース/年ほど販売しており首位と見込まれている。
ビール市場が先進国で伸び悩む一方で、高級スピリッツは冒頭で記したように世界で年率で9%ほど伸びている。サントリーに次いで今回アサヒグループが高級ホワイトスピリッツを世界展開するわけだが、両社の技術・ノウハウが世界の酒類成長市場に乗り出す。(編集担当:吉田恒)